スポーツ雑誌「Number」の別冊NumberDoで、遠藤保仁選手のトレーニングについて書かれています。次のNumberのサイトに内容の一部が紹介されています。
(引用)
■日本代表・遠藤保仁選手の「30代で伸びる"ヤット式"ゆるトレ」
遠藤保仁、日本代表における不動のボランチ。所属するガンバ大阪においても日本代表においても、最も重要な選手であり、彼の代わりになる選手はいない。愛称はヤット。
サッカー選手といえば、有名ブランドの下着の広告に登場するような美しい肉体と厳しいトレーニングをイメージするが、ヤットはちょっと異なる。というか、かなり特殊だ。
――ゆるいカラダは健在ですか?
「ゆるいですよ。ゆるいけど、代表の中盤の中で上半身の筋力は平均値よりぜんぜん上です、最近もらったデータによると」
――カラダを鍛えることについて真剣に意識するようになったのはいつ?
「24歳くらいからですかね。レベルの高い海外の選手とやって刺激を受けて。まあよくある話ですよ、簡単に言うと」
――複雑に言うと?
「複雑に言うと、きっかけはフランス代表との試合でアンリに吹っ飛ばされたことです。ボールを獲りに行ったら、腕一本で押さえられて、オレの勢いを手で殺しながら、その反動を使って、ポーンって前に行ったんです。一瞬で3mくらい離されて」
――みじめな感じ?
「そうです。周りは、『アンリつえーな』で終わっていたかもしれないですけど、オレの中では衝撃的でした。それまでもフィジカルの足りなさはちょこちょこと感じてはいましたけど、あの一撃で完全にわかりましたね」
――普段はどんなトレーニングを?
「シーズン中、試合が週1回の時は、試合翌日の午前に上半身をやります。キツいと感じる程度の重さ、ベンチプレスなら50とか52kgで10回を3セット、部位によって4、5種類」
――午後は?
「何もしないです。午後と次の日の1日半は休む。週明けに筋肉痛が取れていればまた上半身をやるし、取れていなければ下半身をやります。下半身も3セットが基本で、コンディションによって重さを変えたり、チューブを使ったり。今日は強くするためにやろうとか、次の週はバランスメインでとか、柔軟性メインでやろうとか、毎週違いますね」
――シーズン中、10カ月に渡ってそういうトレーニングをしていると、肉体的には相当ハードでしょう。
「代表の試合が入るとキツいです。でも、そこでオレはあんまり考えないんです。逆に考え込むと、バランス崩したりするんで」
■「『病は気から』を信じている男ですから」
――トレーニングをしていて行き詰まってしまうことはないんですか?
「ないですね。自分が気付いてないだけっていう可能性もありますけど」
――こんなにやっているのにどうして伸びないんだろうという状態になったりもしない?
「そういうときは、それが今の100%、今のオレだから、そこから上げていけばいい。その日その日が100%だって思っていれば、調子悪いもクソもないでしょ。それだけの力しかありませんでした、って素直に認めて、自分の中で整理して、繰り返し練習するしかない」
――肉体の管理で日々気を付けていることは?
「一番気を付けているのはやりすぎないこと。筋肉痛になってプレーに集中できなくなったり、サッカーそのものの練習に影響が出たりするので」
――疲労を残さない工夫はしていますか?
「全然ないです。自然に回復しないとそれに頼っちゃうので。マッサージもめったに受けないです。所属クラブでもそうですけど、代表にいる時なんて全く受けないですよ。ケガの治療で患部の周辺をほぐすことはありますけど、何のケガもなくマッサージというのは、年に数回くらいですかね。次の日になっていればよくなるだろうって」
――次の日にも残っていたら?
「それでも普通にトレーニングやります。いつかは取れるだろう、取れなかったら交替すればいいか、みたいな感じです。『病は気から』を信じている男ですから」
――昭和ですねえ。
「風邪をひいてもめったに薬は飲まないし、痛み止めを飲んでまで試合に出ようとは思わないです」
――じゃあ、ヤット流トレーニングにおいてコンディショニングの秘訣は特にないってことでいいでしょうか?
「ストイックにやっていることはゼロです。体重も気にしてないですし。ある程度食事に気を遣うことと、ある程度のストレッチくらいですかね」
――ストレッチは1日どれくらい?
「練習前、練習後、風呂上がりに必ずやってますね。それぞれ15~20分くらい。特に遠征先のホテルにいるときは長くゆっくり」
――筋トレは好きですか?
「最近好きになりましたよ。目に見えて効果が出てくればやっぱりね。攻撃の時の粘り強さとか、守備でぶつかった時に、相手のバランスは崩れているけど、自分は崩れてないとか。そういうことが増えてくればより楽しくなりますよね、サッカーが」
■「若いやつらには、フィジカル超やれ!って言ってます」
――今、強化したい部位は?
「下半身です」
――下半身を強くしてどうなりたい?
「力強く速くなりたい。踏ん張りがきくようになりたいんです。言ってみれば黒人選手の脚です。泥んこや砂場でもバランスが崩れない脚をつくって、相手よりも一歩先にボールに触りたい。そういう差でチャンスの数がぜんぜん違うし」
――けっこう真剣にサッカーのことを考えているんですね。
「そうなんすよ、こう見えてね(笑)」
――昔に比べてサッカーに対する真剣度が増してきていませんか。
「サッカーの深さを理解しつつあります。昔はただサッカーをやってるってだけでしたけど、今はいろんな立場からいろんなことを考えます。だから筋トレも真剣に考える」
――逆に言うと、若いときはどれだけやらなかったんだ、と。
「そうです。だから今、若いやつらには、フィジカル超やれ!って言ってます。自分みたいになってほしくないから。もし真剣にやっていたら、オレ絶対に世界に行けたと思うし、ヨーロッパの一流クラブに行けていたかどうかはわからないけど、少なくともチャレンジはできていたと思う。絶対に」
――日本代表の中盤でコンビを組む長谷部選手の著書に『心を整える。』なんてありますが、遠藤選手って良いプレーをするために「心を整え」たりしますか?
「やらないです。自分の力を把握していれば、どんな状況であっても平均値は出せるんですよ。ハプニングに自分が対応できるだけの力を身につければ、心を整えなくていい。僕の場合は、ですよ」
――じゃあ有名な人の言葉とか、そういうのにも興味ないんですね。
「あ、そういうのは好きです。人の生い立ちだとか、その人が発した言葉の本とかあるじゃないですか。そういうの大好きです」
■遠藤保仁が反応したグアルディオラの言葉。
――最近自分がすこぶる反応した人物や言葉ってありますか?
「ありますよ、グアルディオラ。『飽くなき向上心と謙虚さを持つ』。その他にも、ほんと、いいこと言ってるんですよ(笑)」
――ではグアルディオラに負けないように、遠藤選手も何かトレーニングにおける名言をお願いします。
「『気持ちがのらないときはやるな』。『絶対にやるな!』です。そんな時にやっても意味ないです」
――それはさぼることではない?
「休むことです」
――3日気持ちが乗らなくても、ですか?
「そうです。もしそれが10日続いたら、あなたにはやる気がないんです(笑)。もしくは、向いてない。そう、向いてないんです」
――じゃあとりあえず遠藤選手は、筋トレに向いていなくはないんですね。
「でも一般人に戻ったらやらないっすよ。基本的に筋トレは嫌いですもん」
――さっき好きになってきたって言ったじゃないですか。
◆遠藤保仁 Yasuhito Endo◆
身長:178cm 体重:75kg 体脂肪率:11%
1980年1月28日、鹿児島県生まれ。鹿児島実業を経て、'98年横浜Fでプロデビュー。'01年にG大阪へ移籍するとチームの攻撃サッカーの中心に。'02年日本代表デビュー。昨年の南アW杯では全4試合に出場、ベスト16進出に大きく貢献した。
◆Training Menu◆
ボールを使ったトレーニング以外では、上半身を鍛えるものを中心に約5種類のメニューを10回3セット。種目は毎日替えます。上半身に疲れが残っているときは下半身のメニューに変更。
◆Key Item◆
北朝鮮で読んだグアルディオラの本。「最強チームを率いる監督の姿勢に凄く刺激を受けた」
(引用おわり)
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