中国、8.9%成長に減速 10~12月2年半ぶり低く
【北京=高橋哲史】中国国家統計局は17日、2011年10~12月期の国内総生産(GDP)が物価変動の影響を除いた実質で前年同期に比べ8.9%増えたと発表した。成長率は4四半期連続で鈍化し、09年4~6月期以来2年半ぶりに8%台に沈んだ。欧州債務危機の影響で輸出に陰りが出た上、金融引き締めを背景に投資の伸びが鈍った。中国経済は安定成長の軌道に軟着陸できるか微妙な段階に入ってきた。
11年10~12月期のGDP成長率は市場の事前予想の平均(8.5%)を上回った。前期比では2.0%と、7~9月期の2.3%から減速。11年通年の成長率は前年比9.2%と、09年に並ぶ2年ぶりの低さとなった。
世界経済のけん引役を期待される中国経済はなお9%近い成長率を保つが、足元では輸出の不振と投資の減速が目立つ。10年に3割を超した輸出の伸び率は11年に20.3%にとどまった。農村部を除く固定資産投資(設備投資や建設投資の合計)も前年比23.8%増と、伸び率は10年の24.5%に届かなかった。
11年の社会消費品小売総額(小売売上高)は17.1%増と底堅く推移したが伸び率は10年の18.3%を下回った。新車販売台数増加率が13年ぶりの低水準となるなど、輸出と投資の鈍化を穴埋めする力強さはない。
中国共産党と政府は昨年12月に開いた中央経済工作会議で、インフレ抑制に置いていた経済政策運営の軸足を徐々に景気の下支えに移すことを決めた。中央銀行の中国人民銀行は同月5日に預金準備率を3年ぶりに引き下げ、既に金融緩和に踏み出している。
ただ、巨額の公共投資で成長率を押し上げる政策は取らないとみられる。インフレや不動産バブルを再燃させかねないためだ。共産党・政府は12年の成長率の目標を11年までの「8%前後」から、7%台に引き下げる方向で調整している。