<AKB48:29thシングル選抜じゃんけん大会>◇18日◇日本武道館

 3時間にわたった熱戦を制したのは、「次世代センター候補」と位置づけられているAKB48の島崎遥香(18)だった。制服姿でひょうひょうと勝ち進み、本人も「まさか」と言う優勝にまでこぎ着けた。今年はドラマや映画で初主演を果たすなどメディアへの露出も増え、勢いに乗っている。秋元康総合プロデューサーの期待を背負う次世代センター候補が自らの右手でセンターへの道を切り開いた。

 「ぱるる」コールが起こる中、超マイペースで知られ「ぽんこつ」と呼ばれてきた島崎は、不思議そうに目をパチパチとさせた。

 主演した日本テレビ系ドラマ「私立バカレア高校」の制服姿で、のほほんとした表情のまま勝ち上がった。準決勝では、出世争いで先を越されていた横山由依(19)を撃破。決勝では、篠田麻里子(26)と内田真由美(18)の歴代女王を退けてきた仁藤萌乃(20)に勝利した。

 島崎は、エース前田敦子(21)が卒業した後の「次世代センター」と期待されている。前田から主演を引き継いだテレビ東京系ドラマ「マジすか学園3」など、茶の間への出演頻度が増えた。8月26日の東京ドーム公演では、前田が去った後の曲「ファースト・ラビット」で、センターを任されたほどだ。

 ただ、6月の選抜総選挙は23位で、この日に初お披露目された新曲「UZA」のダブルセンターも大島優子(23)と松井珠理奈(15)だった。頂上までもう1歩の現在、島崎は「(センターとは)すごいメンバーたちを後ろにして踊るということなので、とにかく間違えないように」と、必死に期待に応えようとする毎日。そんな「愛娘」の勝利に、客席で拍手をした秋元氏は、関係者に「やっぱりあの子は、何かを持っているとしか言いようがない。今回誰もが、島崎の持っている不思議な魅力に気づいたと思うよ」と話したという。

 優勝後の会見では、質問を受けるたびに考え込み、同席した篠田から何度もフォローを受けた。それでも、「緊張はしなかったです。ずっとチョキを出し続けてました」と、全6試合の初回のじゃんけんでチョキを出した強心臓ぶりを披露。「ぽんこつらしく、ぽんこつなりに、会話のしっかりできるセンターになりたいです」と意気込んだ。

 自らの強運で大きなカベを突き破り、センターの座を獲得した意味は大きい。だが、センターは、必ずしも栄光だけではなく、シングル曲が売れなければ責められる表裏一体の立ち位置だ。昨年女王に輝いた篠田ですら、CD発売直前には緊張したという。栄光とともに貴重な経験が踏めると思えるか。島崎の真価は、これから試される。【横山慧】

 ◆島崎遥香(しまざき・はるか)

 1994年(平6)3月30日、埼玉県生まれ。09年AKB48の9期生合格。昨年チーム4昇格。今年5月発売「真夏のSounds

 good!」で初の選抜メンバー。8月東京ドーム公演でチームBに異動。愛称「ぱるる」。好物はメロンパン。血液型A。