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【特集】2011年6月16日 明け方の皆既月食

6月16日の明け方、月全体が地球の影に隠れる「皆既月食」が見られます。低空の現象で、月は欠けたままの状態で沈んでいきます。

月食はなぜ見える

月食は太陽・地球・月が一直線に並ぶ満月の際、地球が月に対して太陽の光をさえぎる場合に起こります。満月はおよそ1か月に1度起こりますが、毎回月食になるわけではなく、また起こっていても地球の反対側では見られないことを考慮すると、月食は1年に2回ほど観察できることになります。2011年は今回のほか、12月10日の深夜から11日にかけても皆既月食が見られます。

地球の本影と半影

太陽に照らされる地球の後方(太陽の反対側)には、長い影が伸びています。この影には、太陽の光が地球に完全にさえぎられる「本影」と、一部が届く「半影」の2種類があります。地上から見ると、ちょうど太陽から180°反対のところに本影と半影が二重円になって位置しています。

月の一部が本影をかすめれば部分月食、月全体が本影に完全に入れば皆既月食となります。本影に隠された部分はとても暗くなるのですぐにわかりますが、半影に隠されているだけの部分は、写真撮影をしてやっとわかるほどの変化しかしません。

現象の時刻

月食のようす。半影、本影、そして月の位置を示した

月食のようす。半影、本影、そして月の位置を示した。クリックで拡大(ステラナビゲータで作成、以下同じ)

今回の皆既月食は全国で見られるものの、月食の全経過を観察することはできません。関東以北では、皆既月食となる前に月が沈んでしまい、それ以外の地方では、皆既状態の月が沈んでいきます。このような月食をとくに「月没帯食(げつぼつたいしょく)」と呼びます。どこで見るにせよ、西の低空での現象になりますので、観察場所を選ぶ際は注意が必要です。

月食の進行時刻
半影食の始まり2時24.6分
欠け始め3時22.9分
皆既食の始め4時22.5分
食の最大5時12.6分
(皆既食の終わり)6時02.7分
(部分食の終わり)7時02.2分
(半影食の終わり)8時00.7分
現象 札幌仙台東京大阪福岡那覇
欠け始め
3時22.9分
4度7度10度13度17度24度
皆既食の始まり
4時22.5分
(地平線の下)(地平線の下)0度4度8度14度
月没時刻 3時56分4時15分4時27分4時47分5時11分5時41分

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各地からの見え方

日本各地で月が見える位置を、主な現象の時刻とともに示した図です。空の暗さは、欠け始めの時刻のものです。

東京での月食のようす

東京での月食のようす

観察と撮影

今回の皆既月食は低空で起きるのが特徴なので、なるべく南西〜西南西の空が開けている場所で観察したいところです。意外と建物がじゃまになりやすいので気をつけましょう。

「星空ナビ」で皆既月食を再現

「天文現象」リストから選んで再現

月食が見える方向の見当をつけるには、ニンテンドーDSで星空を再現できる「星空ナビ」が便利です。天文現象の一覧から選択するだけで月食を再現することができて、観測する場所を設定すれば月が空のどの位置にあるのかもわかります。

じっくり楽しみたい方には双眼鏡がおすすめです。空が明るいために、肉眼では月が欠けている様子や色がわかりにくいかもしれませんが、双眼鏡を使えば微妙な変化も見やすくなります。

月食のようすをスケッチしたり写真に撮ったりするのもおすすめです。撮影に使うのは一般的なコンパクトデジタルカメラでもじゅうぶんで、カメラを三脚で固定して「遠景モード」を使えばピントのあった写真が撮れます。地上風景をうまく取り入れた撮影に挑戦してみてください。

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