みどりの一期一会

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NHK会長発言:各紙の社説/公共放送の信頼損ねた/あまりに不安な船出/信頼が根底から揺らぐ

2014-01-29 21:09:42 | ほん/新聞/ニュース
二日間出かけていて、帰ってきてたまったメールのチェックをして、
28日の朝刊から、今日の夕刊まで読みました。

中日新聞と朝日新聞の社説は、NHK会長発言に対する批判。


NHK会長発言について、他の新聞の社説も調べてみたら、
北海道新聞、信濃毎日新聞、沖縄タイムスの社説にも書かれていました。

  【社説】NHK会長発言 公共放送の信頼損ねた
2014年1月28日 中日新聞

 そもそも適任だったのだろうか。NHK新会長、籾井勝人(もみいかつと)氏である。経済界からの就任だが、放送の役割を深く理解しているとは言い難い。公共放送の信頼を損ねたのなら、退場願うしかあるまい。

 籾井氏は、NHKが従うべき放送法第一条の「目的」に掲げられた「不偏不党」の意味を取り違えてはいないか。例えば、昨年暮れの臨時国会で与党が強行可決した特定秘密保護法である。

 籾井氏は就任会見で「一応(国会を)通っちゃったんで、言ってもしょうがない。政府が必要だと言うのだから、様子を見るしかない。昔のようになるとは考えにくい」と述べた。

 同法は、防衛・外交など特段の秘匿が必要とされる「特定秘密」を漏らした公務員らを厳罰に処す内容だが、法律の乱用や人権侵害の可能性が懸念されている。

 にもかかわらず「昔の(治安維持法の)ようになるとは考えにくい」と言い張るのは、一方的な見解の押し付けにほかならない。

 秘密保護法を推進した安倍晋三首相側への明らかなすり寄りで、もはや不偏不党とはいえない。

 首相の靖国神社参拝も同様だ。籾井氏は「昔の人は『死んで靖国に帰る』と言って心を慰めた。千鳥ケ淵(戦没者墓苑)ではだめだという人が大勢いる」と述べた。

 賛否が分かれても、時の政権の主張に唯々諾々と従うことを、不偏不党と考えているのだろうか。

 さらに、籾井氏は「従軍慰安婦は今のモラルでは悪いが、現実としてあった。戦争地域ではどこでもあったこと」とも語った。

 女性の人権を著しく蹂躙(じゅうりん)した従軍慰安婦の存在を、戦争中という理由で肯定的にとらえるのは、公共放送のトップとしての見識が疑われても仕方があるまい。「個人の発言」では済まされない。

 心配なのは、籾井氏の会長としての資質に加え、会長や安倍内閣寄りの委員が加わった経営委員会の考えを忖度(そんたく)し、制作現場が萎縮したり迎合したりして、放送内容が政権寄りに改変されることだ。

 NHKは視聴者の受信料と信頼で成り立つ、民主主義国家たる日本の公共放送だ。どこかの専制国家の国営放送のように、権力側の言い分を押し付けるのなら存在意義はない。

 良識あるNHK職員には奮起を促したい。放送法第一条「目的」の三項にはこうある。「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」 


NHKの経営委員からの批判が出て委員会から厳重注意を受けたようですが
NHKではニュースにもなっていませんね。

 読み解く=資質への疑問 続出 NHK会長 失言問題 「立場軽んじた」 経営委が注意 (2014年1月29日 西日本新聞)

 NHK経営委員会、籾井会長に厳重注意(2014年1月28日 日テレニュース) 

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 社説:NHK新会長 あまりに不安な船出 
2014年1月28日 朝日新聞

公共放送のトップを任せられるのか。強い不安を感じる。
 NHK新会長の籾井勝人(もみいかつと)氏が就任会見で、政府の立場に寄り添うような発言を繰り返した。
 尖閣諸島・竹島などの領土問題で、一部経費を国が負担する海外向け放送による政府見解の発信強化に意欲を見せ、「政府が右ということを左というわけにはいかない」と述べた。
 安倍政権が世論の反対を押し切って成立させた特定秘密保護法も、「必要だとの政府の説明だから、とりあえず受けて様子を見るしかない」と語った。
 籾井氏は、「政府からふきこまれたわけではない」とし、自身の見解を番組に反映させる意図がないことも強調した。
 だが一方で、議論を呼ぶような問題をとりあげる番組では「了解をとってもらわないと困る」と、会長としての方針も示した。現場を萎縮させる恐れはないのだろうか。
 公共放送の先駆けである英BBCは、フォークランド紛争やイラク戦争で必ずしも英政府を支持せず、客観的な報道に努めた。時の政権からは非難されたが、国際的な評価は高まった。
 NHKが向くべきは政府ではなく、受信料を納める国民の方である。放送内容が政府の宣伝ととられれば、海外での信頼もかえって損なわれよう。
 籾井氏は「放送法順守」を何度も口にした。大事なのは「健全な民主主義の発達」と明記された法の目的に照らし、社会の諸問題について、視聴者に多角的な視点や情報を提供することだ。その使命を果たす覚悟がなければ、会長は務まらない。
 籾井氏は個人的見解と念押ししたうえで、従軍慰安婦についても持論を展開した。「今のモラルでは悪いが、戦争をしているどこの国にもあった」とし、補償を求める韓国側の動きには「日韓条約で解決している。なぜ蒸し返すのか」と述べた。
 これには与野党から批判が相次ぎ、韓国でも反発を招いた。大手商社での国際経験を買われての人選だったはずが、いったいどうしたことか。
 昨年末の経営委員会では会長任命に先立ち、「言葉の選び方には留意して」と注文されていた。籾井氏は昨日、「私的な考えを発言したのは間違いだった」と釈明したが、早くも懸念が的中した形だ。

 NHKが自主自律を守るには不断の努力が必要だ。予算承認権を握る国会では、政治が干渉してくるリスクは常にある。会長はそれを率先して防ぐべき立場だ。自らの発言が審議対象になるようでは困る。 


   社説:NHK新会長 信頼が根底から揺らぐ(1月27日)
2014.1.27 北海道新聞

 公共放送のトップとしてあまりに見識を欠いた発言に驚きを禁じ得ない。

 NHKの新会長に選出された籾井勝人(もみいかつと)氏が就任会見で、従軍慰安婦や領土問題をはじめとする外交・政治分野の懸案事項について、政治的中立を疑われかねない持論を次々と展開した。

 立場をわきまえない、乱暴な発言であり、到底容認できない。会長を選んだ経営委員からも批判が出ている。当然だ。

 新会長は経営委員会で選出された。どういう経緯で籾井氏が選ばれたのか疑問がわく。28日には委員会が開かれる。その場で責任ある対応が求められよう。

 会見では、看過できない数々の発言が飛び出したが、慎重であるべき中国、韓国との歴史認識問題に関する発言は、とりわけ重大だ。

 籾井氏は従軍慰安婦問題について、「戦争をしているどこの国にもあった」と述べ、日本に戦後補償を要求する韓国の立場を批判した。

 NHKでは過去に、慰安婦をテーマに特集番組が作られた際、安倍晋三氏らの意をくむ形で改編され、訴訟に発展した経緯がある。

 まるで政権の代弁者であるかのような発言に、強い違和感を覚える。

 任期中の最重要課題として挙げたのも、尖閣諸島と竹島の領有権問題だった。籾井氏は「日本の立場を主張するのは当然だ」と強調した。

 念頭にあるのは、外国人向けの国際放送の拡充に伴い、その主張を内外に広めることにある。

 NHK会長がこうした踏み込んだ発言をするのは異例だ。

 報道の自由や知る権利が侵害されるとして、多くの報道機関が危機感を募らせている特定秘密保護法についても「法案が通ったのだから言ってもしょうがない」と述べた。

 これが、多様な視聴者の期待に向き合うNHKを率いる会長の、公の発言なのだろうか。

 会長を支える経営委員会のメンバーの大多数は、安倍首相と近い関係にある。政治との距離をいかに保つかが、今回の会長就任の最大の焦点だったはずだ。

 会見で籾井氏は、「放送法があるが故に、われわれは(政府との)距離を保てる。私は政治家も知らない」と明快に答えた。

 放送法は、放送が守るべき原則として「不偏不党」「表現の自由」を掲げ、会長に番組編集権を与えるとともに、「政治的公平」と「多様性の尊重」を求めている。

 残念ながら会見からは、それを貫く覚悟の一端も読み取れなかった。

 籾井氏の資質を厳しく問い、発言の真意をたださなければ、視聴者は納得しない。


  社説:NHK新会長 公共放送の行方が心配
2014年1月27日 信濃毎日新聞
 
 NHKはこれから大丈夫か、と感じた人が多いのではないか。

 新会長の籾井勝人氏が記者会見した。内容はNHKの先行きを心配させるものだった。

 尖閣や竹島の領土問題について「明確に日本の立場を主張するのは当然のことだ」と述べた。

 日本の立場を内外に伝えるのはいいとしても、政府の言い分を一方的に報じるだけではメディアの役目は果たせない。対立をあおり解決を難しくするだけだ。

 中国や韓国の主張も過不足なく日本国民に伝えてこそ打開の環境は整う。NHKが政府の宣伝機関になってはいけない。

 「通った(法律が成立した)ので、言ってもしょうがないんじゃないか」。これは特定秘密保護法についての発言だ。

 法律は成立し公布されたが、施行はこれからだ。橋本龍太郎内閣のときの財政構造改革法など、公布された法律が施行されないで廃止された例はある。野党は秘密法廃止法案を今の国会に出すことにしている。国会の外では反対運動が続いている。

 この状態での「しょうがない」発言は政府方針の追認になる。中立、公正と言えない。

 世界に波紋を広げそうな発言もあった。従軍慰安婦についてドイツとフランスの国名を挙げながら「どこの国にもあった」と述べている。関連してオランダの売春街にも触れた。

 従軍慰安婦はいま、米国への韓国少女像の設置などをめぐり国際問題になっている。発言は火に油を注ぐようなものだ。

 籾井会長は「日韓基本条約で全部解決している」とも述べている。この発言も不適切だ。日本の謝罪と補償を求める人が今もいることを無視している。

 NHKは受信料で支えられる公共放送だ。国営放送とは違う。国民、視聴者に奉仕するのが第一の役割だ。憲法が放送などメディアに「報道の自由」を認めているのも、国民の「表現の自由」を保障するためである。

 公共放送であっても、いや公共放送だからこそ、NHKは政府から一線を画し報道機関として筋を通すべきなのだ。

 会長の選任プロセスにあらためて目が向く。会長を選ぶ権限は経営委員会がもつ。政府は昨秋、委員のうち4人を安倍晋三首相に近い人物に差し替えた。そうやって決まったのが籾井会長である。

 NHKが政府べったりにならないか心配だ。今後の番組作りには厳しい目を注がねばなるまい。


 社説[NHK新会長発言]重責担う資質に欠ける 
2014年1月27日 沖縄タイムス

 公共放送の現場を預かる会長が就任の記者会見で見識を疑う発言を平気で口にするようでは、先が思いやられる。

対韓外交を損ねただけでなく、NHKに対する信頼を就任早々、傷つけてしまった。

 籾井(もみい)勝人会長は25日の会見で、従軍慰安婦問題について問われ、「今のモラルでは悪いが、現実にあった。戦争地域にはどこにもあった」と語った。

 重ねて歴史的事実を問われると、むきになって「ヨーロッパではどこだってあったでしょう。じゃあ、なぜオランダに今ごろまだ飾り窓があるんですか」と、茶の間には流せないような発言が飛び出した。飾り窓とは売春街のことである。

 籾井会長は「今、韓国がやっていることで一番不満なのは」と、あえて前置きし、韓国の対応を批判した。

 「韓国は日本だけが強制連行したみたいなことを言っているから、話がややこしい。お金よこせ、補償しろと言っているわけですよ。しかし、そういうことはすべて日韓条約で国際的には解決している」

 「お金よこせ」という言い方は、生存する当事者の尊厳をおとしめる一方的発言である。とうてい認められない。

 過去の植民地支配に対する反省が感じられないような発言が公共放送の新会長から飛び出したことは、日韓関係を一段と悪化させるおそれがある。

 会長の職務を監督し評価するのは経営委員会の役割である。委員会は会長発言をどう受け止めるのか。委員会の姿勢も問われている。

    ■    ■
 政府・自民党の中には以前から、「番組が偏向している」との批判が強かった。籾井会長が会見で何度も「放送法の順守」を強調したのは、政府・自民党による偏向批判を意識した発言だとみて間違いなさそうだ。

 籾井会長は「国際放送で尖閣、竹島など領土問題について明確に日本の立場を主張するのは当然だ」とも語った。これも自民党が強く要請していたものである。

 NHKは放送法に基づいて設立された特殊法人で、「国営放送」でもなければ「半官半民」でもない。NHK自身がネット上で説明しているように、政府の仕事を代行しているわけでもない。

 政府を監視するというメディア本来の姿勢が弱まり、政権寄りの報道が続けば、NHKに対する高い信頼は失われる。そのことは現場が一番よく知っているはずだが、気になるのは、早くも報道姿勢に変化が生じ始めているように見えることである。

    ■    ■
 24日夜に放送されたNHKスペシャル「返還合意から18年 いま“普天間”を問う」は、政府の広報番組のような内容だった。

 小野寺五典防衛大臣の言い分をえんえんと流すだけ。名護市長選の意味を問い直すこともなく、辺野古移設反対の民意を丁寧に伝えることもなかった。

 NHKの内部で何が起きているのか。受信料を徴収している以上、説明責任を果たすことが不可欠である。


  


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