スティーブ・オースティンは娘と一緒に山で国境警備隊員をしている元特殊部隊員という役どころ。
彼がテリトリーにしている山に分け前を独り占めした老強盗と、それを追う一味がやってきて、娘を人質にとられ案内をさせられることになる。都会の生活に未練がある娘とうまくいっていなかったのが危機を乗り切るうちに仲直りするという展開は型通りだが、父娘が山の地理やサバイバル術を知っているので強盗も安易には殺せないし、ところどころでわからないように意思の疎通をはかったりするといった設定は工夫のしどころ。
サバイバルテクニック、特に時計のバンドにしている紐を編んであるのをほどくと長く伸びてロープ代わりになるというあたりは、本当かなと思いながらちょっと面白い。
銃ばかりでなく弓矢で音を消して戦うところや、山岳アクションには崖登り、それからオースティンの肉弾戦もあって、けっこう飽かせない。派手にパーカッションにブラスを多用する音楽はちょっとジェリー・ゴールドスミスを軽量にしたみたい。
あまり脈絡なく敵の一人がわざわざ素手で戦うのだが、誰かと思ったらゲイリー・ダニエルズ。「エクスペンダブルス」第一作にも出ていたが、実写版「北斗の拳」のケンシロウといった方がわかるやすいか(?)。テレ東の午後のロードショー向け。
強盗一味がかなり互いに仲が悪く、追跡の最中にもたびたび仲間割れして殺し合いになる。それがかえってオースティン父娘にとっては危険に働くという趣向はまあいいのだが、度重なるのでだんだんご都合主義的に敵が減っていくように見えてくる。
タイトル前に本筋とはまったく関係なく部隊で活動していた頃に仲間を失うシーンがあるが、その仲間役でエリック・ロバーツが出演、結局冒頭しか出てこない。看板代わりというか、なんだかぞんざいな扱いを受けているな。