東南アジアには親日国が多い。第2次世界大戦では日本が占領した国々でもあるのに、日本を良く思ってくれる。なぜだろう。その問いに対しては、今までにいろいろな解説が試みられてきた。戦後の驚異的な復興によりアジアで唯一の先進国となったから。あるいはアジアで初めて欧米超大国に戦いを挑んだ国だから・・・。

東南アジアの国々はなぜ日本が好きなのか

今週のランキング
順位 タイトル
1 あり得ないことが起きる? 日韓の経済成長率逆転か
2 VWの車体骨格はどのように強度を出しているのか
3 有力ヘッジファンドが予言する日本危機
4 アベノミクスの円安に踊らない大企業
5 日本に眠る"資源"を宝に変える男
6 「沖縄に日本の主権はない」と主張する中国
7 日本:安倍首相のマスタープラン
8 ドイツ人の怒り最高潮、なぜクロアチアも加盟するんだ
9 カネで取り引きされる「結婚」
10 粗雑すぎないか? 迷走する維新の会
11 中国流「民主主義」が世界のスタンダードになる日
12 上海で実感、ゆっくり沈んでいく中国経済
13 技あり安倍首相のロシア訪問、惜しかった一本
14 終わらないボストン・マラソン爆発事件
15 量的緩和がもたらすまやかしの平穏
16 日本とアベノミクス(上)
17 日本とアベノミクス(中)
18 心しておくべき2030年の日中軍事バランス
19 シラチャが雄弁に語る海外進出の転換点
20 日中韓のリアルで探れ、尖閣・竹島の落としどころ

 そんな面もあるかもしれない。でも本質ではない。そうした目でだけでしか日本を見られない精神構造の国は、自国の生活水準がある程度上がった途端に間違いなく反日国になっている。

 現在、親日国と言われる国々と日本は、別の何かで結ばれている。それは恐らく、日本人が長い歴史の中で熟成させてきた精神的支柱に起因している。

 江戸時代という長く続いた平和な時代に、武力ではなく支配者として別の価値を自らに見出さなければならなかくなった武士たち。

 一方で、この時代に士農工商というそれまで馴染みのなかった迷惑な身分制度を押し着せられた被支配層も、精神的には対等の関係を保とうと人間としての価値を磨くことに余念がなかった。

 「日本が中国・韓国より決定的に優れているわけ」の記事で、数学者の桜井進さんは、日本がフィールズ賞やノーベル賞が数多く受賞している理由を江戸時代の教育にあったと語っている。

 武士も農民も町民も、教養を育み徳を積むことに熱心だったおかげで、日本は明治維新後の素早い発展を手にすることができた。江戸時代が育み私たちの体の中に受け継がれてきたDNAの恩恵を現代の私たちももっと認識していい。

 ただ残念なのは、大半の日本人はその大切な心をほとんど忘れかけていることだ。グローバルスタンダードという名の下に徳よりも得を優先する企業経営者が増え、平気で「世界同一賃金」などという言葉を口にする大手企業のトップも現れたのはその一端だろう。

 世界同一賃金や英語公用語化を口にする経営者が純粋な日本人かどうかは知らない。しかし、社員の徳を生かしその価値を尊敬できないような会社なら日本にある必要がないのではないか。英語を話すことの方が大事では「日本の会社」という看板が泣く。