放射性セシウム、深部で濃度高く 海洋機構が分析結果
東京電力福島第1原発事故で流れ出た放射性セシウムは、海の表層に比べ深いところで濃度が高かったとの分析結果を、海洋研究開発機構などの研究チームが20日までにまとめた。チームは「第1原発から流出した汚染水が暖かい黒潮の下に沈み込んだのではないか」としている。
チームは事故後の昨年1~2月、北海道沖からグアム島周辺にあたる北緯15度付近までの約3千キロにわたり、計10カ所で海水を採取。セシウム134と137の濃度を調べた。
その結果、第1原発の南東約900キロで黒潮の南側にあたる地点では表層付近の濃度は低かったが、水深200~400メートル付近で1立方メートル当たり約21ベクレルのセシウム134が検出された。
第1原発の沖合約500キロの親潮と黒潮がぶつかる地点では、水深150メートル付近で濃度が最も高く、同約19ベクレルのセシウム134を検出した。
調査した海域のうち、水深800メートルまでのセシウム濃度を平均化すると、第1原発沖の海域が最も高かった。一方、その北側と南側の海域ではおおむね濃度が下がり、第1原発沖の濃度の半分から4分の1程度だった。
事故では大気中に放射性物質が放出されたほか、汚染水が海に漏れ出た。今回の調査で検出されたセシウムは主に汚染水による可能性がある。〔共同〕