Everyone says I love you !

弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

資源エネルギー庁が国民の表現の自由を侵害 新聞投稿・ブログ・ツイッターの脱原発意見を監視していた

2011年11月21日 | 日本国憲法の先進性

 

経済産業省資源エネルギー庁では、冒頭のマンガを用いるような原子力政策の宣伝も行う日本の原発推進機関の中核です。

その資源エネルギー庁が原発に関するメディア情報を監視してきたことを、7月に日本共産党の「しんぶん赤旗」がスクープしたことは以前お伝えしたとおりです。

 

資源エネルギー庁 新聞記事・ブログ・ツイッター監視 しんぶん赤旗スクープ 読売、日経、産経、朝日無視

本年度発注分を含めると、外部委託費の総額は、下の記事にあるように、4年間に約1億4000万円に上るそうです!(余計なことに金使うな!)

しかも、事業は外部委託で行われ、各年度とも異なる財団法人が受注しており、いずれも経産省天下り・電力関係者らが役員を務めているのです。

たとえば、2010年度に同事業を受注した財団法人エネルギー総合工学研究所は、理事長が東京電力元副社長の白土良一氏で、副理事長は元通商産業省環境立地局長の並木徹氏。理事には、木村滋電気事業連合会副会長(東京電力取締役)や阪口正敏中部電力副社長など電力業界幹部や、市川祐三日本鉄鋼連盟専務理事(元経済産業省大臣官房審議官)、松井英生石油連盟専務理事(元経済産業省商務流通審議官)といった名前が並びます。

 


この権力の暴走を全国紙が黙殺する中、末尾のように、東京新聞がエネ庁に情報公開請求して、その結果を11月20日続報しています。

 

エネ庁は事業の趣旨を「不正確な報道の是正」と説明してきましたが、事実関係が正しいかどうかにかかわらず原発の推進に反する記事が収集され、「低俗な社説」「勝手な反対派を勇気づけるだけ」などと中傷されていたことがわかりました。

資料によると、2008~10年度までの3年間で新聞や週刊誌の記事計275件が「不正確」として報告されました。

報告記事は、原発に関する日々のニュースを伝える一般記事や社説だけでなく、広告やマンガもチェックしており、さらに読者投稿まで監視していたそうです。

さらに、新聞や週刊誌を対象とした同事業は昨年度で終了して、2011年度はブログやツイッターなどのインターネット情報に対象を変更して継続監視しています。

資源エネルギー庁は、恐ろしいことにまさに国民の言論監視機関になってしまっているのです。

 


その監視と分類の仕方は恣意的です。

たとえば、2010年1月6日の朝日新聞に掲載された電機メーカーの広告は、太陽光発電への取り組みをPRする内容で原発に触れていないにもかかわらず「原子力の数倍の発電量を生み出せるような誤解を招く」と指摘していました。

自然・再生エネルギーへの敵意むき出しです。

また、地球温暖化対策として原発推進に言及した環境相に苦言を呈した2009年9月の南日本新聞の社説に対しては

「このような幼稚な社説を掲載する論説委員の質が問われる」と指摘していますし、

原発反対を訴え徒歩で旅をする男性を取り上げた同年4月14日の佐賀新聞の記事には「目立ちたがりの行動をなぜ写真入り、三段抜きで報道するのか。勝手な反対派を勇気づけるだけで、社会の大多数のための政策の推進を阻害する」

と報告しているそうです。

幼稚な安全神話で、社会の大多数のための政策を阻害してきたのはお前の方だろうと言いたいです。

 

国家統治の根本的な問題として、国家権力が国民の表現行為を監視するだけで、国民の表現の自由は萎縮するのであり、これは憲法違反です。

原発事故直後の今年3月29日に成立した11年度予算にも資源エネルギー庁の管轄だけで約29億円もの原子力関連広報が盛り込まれています。

現在、提言型の事業仕分けというのが始まり、高速増殖炉もんじゅが俎上に上がったのは良いことですが、エネ庁の国民監視事業も原発広報事業もいらないでしょう。

経産省では、原発推進の資源エネルギー庁とそれを抑制すべき安全・保安院の上の図表のような癒着が指摘されています。

やらせメール・シンポジウム問題続出の原子力「安全」・保安院の廃止に続いて、やらせもやっていた資源エネルギー庁の根本的改編を提言した方が良いと思います。

原子力安全・保安院がやらせ質問・動員要請 世論工作 中部電力、四国電力、中国電力 全部やろ! 続報あり


 


 

資源エネルギー庁もいらないんじゃないのと思われた方は

よろしかったら上下ともクリックしてくださると大変嬉しいです!

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

人気ブログランキングへ 人気ブログランキング

 

 

 

反原発の記事 中傷 エネ庁への報告 詳細判明

2011年11月20日 07時15分 東京新聞

 経済産業省資源エネルギー庁(エネ庁)がメディアの原発報道を監視してきた問題で、チェックされた報道の詳細が、本紙が情報公開請求で入手した同 庁資料で分かった。エネ庁は事業の趣旨を「不正確な報道の是正」と説明してきたが、事実関係が正しいかどうかにかかわらず原発の推進に反する記事が収集さ れ、「低俗な社説」「勝手な反対派を勇気づけるだけ」などと中傷されていた。

 資料によると、二〇〇八~一〇年度までの三年間で新聞や週刊誌の記事計二百七十五件が「不正確」として報告された。事業は外部委託で行われ、各年度とも異なる財団法人が受注しており、いずれも電力関係者らが役員を務めている。

 報告記事は、原発に関する日々のニュースを伝える一般記事のほか、社説、読者投稿、広告まで及び、漫画も含まれていた。

  地球温暖化対策として原発推進に言及した環境相に苦言を呈した二〇〇九年九月三十日の南日本新聞の社説に対しては「このような幼稚な社説を掲載する論説委 員の質が問われる」と指摘。原発反対を訴え徒歩で旅をする男性を取り上げた同年四月十四日の佐賀新聞の記事には「目立ちたがりの行動をなぜ写真入り、三段 抜きで報道するのか。勝手な反対派を勇気づけるだけで、社会の大多数のための政策の推進を阻害する」と報告した。

 同年一月六日の朝日新聞に掲載された電機メーカーの広告は、太陽光発電への取り組みをPRする内容で原発に触れていないにもかかわらず「原子力の数倍の発電量を生み出せるような誤解を招く」と指摘していた。

 報告された二百七十五件の八割は、主に原発が立地する自治体をエリアとする地方紙の記事で、最多は県内に伊方原発がある愛媛新聞の二十八件。以下、柏崎刈羽原発を抱える新潟日報が二十五件、玄海原発がある佐賀新聞が二十一件と続いた。

 新聞や週刊誌を対象とした同事業は昨年度で終了しているが、本年度はブログやツイッターなどのインターネット情報に対象を変更して継続。外部委託費の総額は四年で一億三千万円に上る。エネ庁によると、これまでメディアに訂正を求めたことは一度もない。

◆あくまで検討資料

  資源エネルギー庁原子力発電立地対策・広報室の話 正確な情報の発信が必要かどうかの観点から情報を分析しており、「原発推進に反する記事の収集」との指 摘は当たらない。委託先の判断により不正確と思われる情報を当庁に提供してきたものであり、あくまで当庁として正確な情報の発信を検討するための途中段階 の資料だ。

◆全てエネ庁に報告

 09年度の事業を受注した日本科学技術振興財団の話 「不正確情報」は外部の原子力の専門家三~四人に作成してもらい、職員が内容を確認した上で、全てをエネ庁に報告した。できるだけ多くの判断材料を提供した方が良いと考えたからだ。何ら間違ったことはしていない。

(東京新聞)

 

 

2011年7月14日(木)「しんぶん赤旗」

エネ庁が原発報道監視 税金使い「不適切情報」収集

全国紙・立地県地方紙・ネットも


 政府が新聞やインターネットを監視し、原子力発電に関する言論を収集していたことが分かりました。経済産業省の外局である資源エネルギー庁が「不適切・不正確な情報への対応」を口実にメディアを監視していたのです。


 この事業は、原子力施設立地推進調整事業のうちの「即応型情報提供事業」です。資源エ ネルギー庁の調達情報によると、2008年度は社会経済生産性本部が2394万円、09年度は科学技術振興財団が1312万円、10年度は財団法人エネル ギー総合工学研究所が976万円で受注しています。

 10年度入札で資源エネルギー庁が示した委託内容の詳細が書かれた仕様書によると、事業の目的は「新聞、雑誌などの不適切・不正確な情報への対応を行う」ことです。

 エネルギー総合工学研究所の担当者によると、記事を収集する対象は、「朝日」や「読売」など全国紙や「日刊工業」など専門紙、福井や青森、福島など原発立地県の地方紙など約30紙です。間違った記事があった場合、資源エネルギー庁に報告し、訂正情報も作成していました。

 「不適切」な情報については、請け負った同研究所の担当者ですら、「何を指して『不適切』とするのか、意味が分からなかった」といいます。あいまいな表現を使えば、解釈がどこまでも広がりかねません。

 資源エネルギー庁作成の仕様書には、国の原子力政策や、通常の原子力発電所でプルトニウムとウランを混ぜた燃料を利用するプルサーマル計画などに対する「動向や傾向等を専門的知見を活用して分析する」ともあります。

 その内容について、同研究所の担当者は「インターネットで原発推進に反対する学者や技術者のブログを中心に、どのようなデータや議論が掲載されているのか見ていた」と述べます。

 資源エネルギー庁の担当者は「原子力は誤解されていることが多い。効果的な情報提供をするための事業だ」と述べていますが、まさに税金を使ったメディア・国民監視です。

 10年度に同事業を受注した財団法人エネルギー総合工学研究所は、理事長が東京電力元 副社長の白土良一氏で、副理事長は元通商産業省環境立地局長の並木徹氏。理事には、木村滋電気事業連合会副会長(東京電力取締役)や阪口正敏中部電力副社 長など電力業界幹部や、市川祐三日本鉄鋼連盟専務理事(元経済産業省大臣官房審議官)、松井英生石油連盟専務理事(元経済産業省商務流通審議官)といった 名前が並びます。

 

 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« らんま1/2 実写版スペシ... | トップ | 法科大学院教授は政策仕分け... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
恐ろしい (bee)
2011-11-22 15:48:29
監視だけなのか怪しいものです。
アルバイトに反・反原発活動やらせてるのかと思う程、知識の裏打ちの無い人間が中間派と自称し、反原発派を中傷するコメントが増えているように思います。
国民に仇をなして、自分達の利権、省庁の利権だけを追及しているのには、全く以って残念だ! (cafe)
2011-11-23 05:25:59
 経済産業省、資源エネルギー庁などの長である大臣、その他官僚らは、第二次大戦後の高度経済成長政策を、世界的にも奇跡とされたように、強力に経済政策を引っ張ったのだが、今は残念ながら完全に、その自分達の利権を守るためだけに汲々として、一般国民の生命財産、その人権保障さえも侵して、省みない! 
 一体、その戦後の気構えは、何処へ消えてしまったのか?
 眞に残念だ、、、コンプライアンス、人倫の道理、法令順守を、何処へ失ってきたのか?

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日本国憲法の先進性」カテゴリの最新記事