最新記事

セキュリティ対策

中国で反テロ法が成立、ネット企業に暗号提供義務付け

欧米各国はサイバー条項に加え、言論の自由が脅かされ可能性に懸念を表明

2015年12月28日(月)11時14分

12月27日、中国の全国人民代表大会常務委員会は、暗号鍵などの敏感な情報を政府に渡すことをテクノロジー企業に義務付けるといった内容から欧米が懸念していた反テロリズム法を可決し、成立させた。写真は反テロ法を担当する安衛星氏(2015年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は27日、暗号鍵などの敏感な情報を政府に渡すことをテクノロジー企業に義務付けるといった内容から欧米が懸念していた反テロリズム法を可決し、成立させた。

 中国の当局者は、新疆ウイグル自治区を中心に過激派や分離主義者からの脅威が高まっていることが法律制定の背景だと説明している。

 全人代刑法室の李寿偉・副主任は記者会見で「今回の法律はテロとの戦いで実際に必要な作業を定めており、世界の主要国が実施している内容と基本的に変わらない」と指摘。テクノロジー企業の通常業務に影響はなく、製品に「バックドア」と呼ばれる機能を組み込んだり、知的財産が失われたりすることについて恐れる必要はないと述べた。

 一方、欧米各国はこうしたサイバー条項に加え、言論の自由といった人権が脅かされる恐れがあるとして懸念を表明。オバマ米大統領もこれまで、法律への懸念を中国の習近平国家主席に直接伝えている。

 同法はまた、人民解放軍が海外の反テロ作戦に乗り出すことを容認したほか、模倣されかねないテロについては詳細な報道を禁じた。

 

[北京 27日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2015トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英インフレ率目標の維持、労働市場の緩みが鍵=ハスケ

ワールド

ガザ病院敷地内から数百人の遺体、国連当局者「恐怖を

ワールド

ウクライナ、海外在住男性への領事サービス停止 徴兵

ワールド

スパイ容疑で極右政党議員スタッフ逮捕 独検察 中国
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中