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ningyo’s BOOK COLUMN

 2003.12.8

THE ANIMALS (どうぶつたち)
まど みちお詩集

美智子皇后 英訳
安野光雅 絵
すえもりブックス

 今回は絵本です。
 われらの詩人、まどみちお氏が国際アンデルセン賞を受賞されたのは1994年でした。
 子ども時代から、また大人になっても、まどさんの詩は、そのお名前を知る前からずっと私のそばにありました。
 「ぞうさん」「めだまやき」「ことり」「するめ」「やぎさんゆうびん」「うつくしいことば」・・・私が諳んじている詩の多さではまどさんが一番です。メロディーがついたものも、ないものも、ずっと私と共にありました。いま、思いつくままにまどさんの詩をあげていくと、子供の時からのおなじみが続々出てくるのにわれながらびっくり。「みみずのみみ」「チョウチョウ」「さくら」「いちばんぼし」「バナナのじこしょうかい」・・・どんどんでてくる。暗誦できるのは小学校時代におぼえたようなのばかり。まどさんはそういうおなじみなのであります。
 私にとって詩の持つ役割の一つは、私のココロでまだ言葉になりきらないものに言葉を与えてくれるもの、形を与えてくれてそれを自分に取り込んでいく手がかりを与えてくれるものなのですが、そういう意味ではまどさんくらいお世話になった方はいません。

 本屋でこの英訳詩集を見つけたとき、美智子皇后訳にもびっくりしました。
 日本国際児童図書評議会が1990年にまどみちお氏を国際アンデルセン賞候補の日本代表として推薦した時には、日本の子どもの詩で外国語訳されたものはほとんどなく、国際的には日本の子どもの詩はまったく知られていないありさまでした。詩の翻訳という分野で、美智子皇后は実績を積んでおられて、依頼され昭和から平成への移行期という皇室が多忙な中で皇后自信が選び、翻訳し、それが、アンデルセン賞の委員に送られたそうです。その翻訳のセンスは(私の貧弱な英語力で言うのも僭越ながら)なかなかいかしてる、と思うものであります。

 いま、私の心の安定剤として、他の詩集と共に手放せなくなっています。

 とはいっても、今のところ一番開いちゃうのは「まどみちお詩集」(ハルキ文庫)なんですが、でもこの本は是非皆さんに知っていただきたい!
 

  ちょっとご紹介

アリ

アリを見ると
アリに たいして
なんとなく
もうしわけ ありません
みたいなことに なる

いのちの 大きさは
だれだって
おんなじなのに
こっちは そのいれものだけが
こんなに
ばかでっかくって・・・

 

  An Ant

   Watching an ant
   I often feel
   Like voicing an apology
   Toward this little being

   Life is lefe to any creature
   Big or small
   The difference is only
   In the size of its container
   And mine happens to be so ridiculously,
   Enormously big.

 


シマウマ

手製の
おりに
はいっている

 

  ZEBRA

   in a cage 
   Of his
   Own making
 

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