門外不出の大田原の屋台、初の市外巡行 県民の日に県内5台競演

 「県民の日」(6月15日)に合わせた同17日のイベントで県内各地の屋台、山車5台が宇都宮市中心部をパレードする。「大田原屋台まつり」の屋台は初めて大田原市外に出て巡行。門外不出の屋台を送り出す関係者は「(他市の)どの屋台と比べても見劣りはない。大田原の魅力を発信したい」と意気込んでいる。 (伊沢利幸)

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 「お祭り屋台引き回しパレード」に登場するのは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された「山・鉾(ほこ)・屋台行事」の「烏山の山あげ行事」(那須烏山市)と「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」(鹿沼市)の屋台や、とちぎ秋まつり(栃木市)の山車、宇都宮二荒山神社菊水祭(宇都宮市)の屋台を加え計5台。宇都宮市役所から県庁の1・2キロをパレードする。

 大田原から参加の屋台は大田原屋台まつりの9台のうち、唯一の市指定文化財の上町屋台。同まつりは江戸時代に大田原神社例大祭として始まり、奥州街道の宿場町のにぎわいを今に伝える。屋台が集結し、お囃子(はやし)を競う「ぶっつけ」があり、花や鳥、唐獅子などの彫刻が施された屋台も各町の自慢だ。

 中でも上町屋台は絢爛(けんらん)豪華で歴史も古い。上町は市中心部の旧町内名で、屋台は江戸時代末期、嘉永2(1849)年9月製作という。大田原藩は華美に造らないように指示したが、町民はこれに従わず、贅(ぜい)を尽くして製作。このため上町の世話人10人が役人から「手錠(てじょう)を申し付けられた」との記録が残っている。

 同まつり実行委員会の小倉正敏委員長(76)は「多くの県民に見てもらい、大田原に続く伝統のまつりを大いにアピールしてきたい」と話している。

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