漁協敷地に臨時魚市場 中津魚市破産問題 5日から地魚競り再開
地方卸売市場「中津魚市」(中津市)が自己破産したことを受け、小祝漁港(同市)内にある県漁協中津支店荷さばき場を当面、臨時の魚市場とすることが関係者への取材で分かった。地元産魚の競りは5日から始める予定。特産「ハモ」など中津産魚介類が他地域で水揚げされる事態はひとまず避けられた。関係者には安堵(あんど)の声が広がったが、仲卸業者には資金面で不安が残っている。
3月29日の中津魚市自己破産を受け同30日、同支店は中津地区漁業運営委員会臨時会議を開催。当面の打開策として、鮮魚の競り場として同支店の「荷さばき場」(鉄骨平屋、693平方メートル)の提供を決めた。行橋魚市場(福岡県行橋市)からは、鮮魚輸送用トラックの提供の申し出があったという。園日出夫委員長(60)は「特産のハモなど地元産鮮魚は中津で水揚げすることが大事でひとまず安心した」。柳田いずみ支店長(57)は「組合員123人の不安払拭(ふっしょく)の第一歩にしたい」と話した。
ただ、約70人の仲買人たちからは不安の声が上がっている。「中津魚市」場内で鮮魚卸店をしていた南竜馬さん(45)は保証金や売掛金など計450万円が戻る見込みがないと肩を落とす。南さんは「破産管財人の許可で場内での営業にはこぎ着けたが、まだ先の見通しは立たない」。連鎖倒産などを懸念し、相談窓口を設置した県は「小規模事業者が資金繰りに支障をきたさないよう万全を期したい」と話している。
=2019/04/02付 西日本新聞朝刊=