【報告書】日本:強要されるアダルトビデオ撮影 ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、 女性・少女に対する人権侵害 調査報告書 

国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは、2016年3月3日、女性の権利プロジェクトによる調査報告書

「日本:強要されるアダルトビデオ撮影 ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、 女性・少女に対する人権侵害」

を公表いたしましたので、ご報告いたします。

下記が報告書サマリーとなります。

報告書全文はこちらからダウンロードいただけますので、是非全文をお読みいただけますと幸いです。

なお、本報告書リリースにあたり、記者会見も予定しております。記者会見の詳細はこちらからご確認ください。

 

日本:強要されるアダルトビデオ撮影 ポルノ・アダルトビデオ産業が生み出す、 女性・少女に対する人権侵害 調査報告書[PDF]

 

報告書サマリー

AVに出演強要される女性の被害が相次いでいます。

「タレントにならない?」「モデルにならない?」などとスカウトされ、タレントやモデルになる夢を膨らませて誘いに応じる若い女性たちが、アダルトビデオの出演を強要されるという被害が相次いで報告されています。

日本を本拠とする国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは支援者・被害者から聞き取りを行い、被害の実態を調査しました。

その結果、若い女性たちが、AVに出演するという意識がないままプロダクションと契約を締結した途端、「契約だから仕事を拒絶できない」「仕事を断れば違約金」「親にばらす」等と脅され、AV出演を余儀なくされる事例が後を絶たないことが判明しました。

若い女性の無知や困窮に乗じて、衆人環視のもとでの意に反する性行為を強要し、その一部始終が半永久的に公にさらされる被害は著しい人権侵害であり、違約金の脅しによりこうした奴隷的な立場に置かれる「債務奴隷」ともいえる深刻な事態であり、女性に対する深刻な暴力です。

 

■こうした被害に対応する法律は存在せず、監督官庁もありません。

 AVプロダクションやメーカーには監督官庁もなく、風適法の適用もないため、違法行為は野放しで、女性は救済を求めることができません。

関連する法律のうち、「児童ポルノ禁止法」は18歳未満の少女のみを対象としており、刑法上の「わいせつ」には該当しないとされる例が多いのが実情です。

そして、どんなに残虐な性行為を強要され、さらに虐待されて負傷したとしても、「同意」「演技」だとして、強姦、強要、傷害、暴行罪等が立件されるケースはほとんどありません。同様に「演技」である等の理由から、売春防止法の適用もありません。

AV出演は、職業安定法、労働者派遣法上の「有害業務」とされ、プロダクションが雇用する女優を勧誘することは職業安定法上の処罰対象となり、プロダクションが雇用する女優をメーカーに派遣して撮影に応じさせることは派遣法違反として処罰対象になります。

しかし、業者は、巧みに女性との契約を労働契約でなく「委任」「委託」などの契約にしてしまい、実際には指揮命令関係があるのに、あくまでそれがないかのように装い、法の適用を免れています。

さらに、消費者法制、消費者契約法、特定商取引法、消費者安全法の定義にあてはまらないため、対応できません。勧誘規制や消費相談センターへの相談・解決、さらには業務停止等の強い行政処分も全く発動される余地がありません。

 

■望ましい法制度について

 こうした状況を改善するために、ヒューマンライツ・ナウは立法による解決と政府、国会による一日も早い対応を求めます。本報告書末尾にて私たちは、詳細な勧告をしていますが、特に以下の点を真剣に検討することを求めます。

 

  • 当面の救済策

特定商取引法の今般の改正にあわせて、同法の対象となる取引類型として新たに、「特定継続的役務供給」を加え、消費者が役務を供給する形態の消費者被害を救済対象とし、アダルトビデオ被害を加える改正案を提案すること。

また、消費者安全法の範囲も同様に拡大して、「多数消費者財産被害事態」としての大臣の是正措置がとれるようにすること。

 

  • 厚労省に対して

アダルトビデオ契約が「委任」等の形態をとる場合も、実態が労働契約に該当する場合は、労働契約として取り扱うべきことについて、基準を示して通達・告知・啓発すること。

これに合わせて必要な監督や処罰ができるようにすること

  • 内閣府に対して

分野横断にわたる問題ではあるが、女性に対する深刻な暴力という観点から、内閣府男女共同参画局・消費者委員会において、調査を行い、必要な施策、法制度を建議すること

  • 警察・検察に対して

AV女優が労働者としての実態のあるケースについて、積極的に、職安法、労働者派遣法の違反行為の捜査・起訴を行うこと

併せて、意に反するAV強要事案については刑法犯として積極的に立件、捜査、起訴すること

  • 消費者庁に対して

消費者被害としてAV強要被害の被害者を保護できるよう、必要な法改正案を検討準備すること

  • 国会議員に対して

包括的な救済立法を制定すること

 

■  関連業者の責任

アダルトビデオのプロダクションおよび製造、販売、流通等に関わる全ての業者は、アダルトビデオ産業がその製造プロセスにおいて人権侵害を生みやすいことを直視し、以下の対策をとるべきである

1  意に反するAVの出演強要、女性の心身の安全と健康に悪影響を及ぼす人権侵害を伴う撮影を直ちにやめること

2 人権に関するポリシーを確立し、製造プロセスにさかのぼって、人権侵害を発生させないよう相当な注意を払って監督し、人権侵害の事態を抜本的に是正すること

 

◆AV強要被害をなくし、救済するため、ヒューマンライツ・ナウが進めるオンライン署名Change.orgの署名にご協力ください◆ 

署名はこちらから

 

(更新:2016年5月16日)