みどりの一期一会

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甘利氏の辞任 幕引きにはできぬ /説得力を欠いた釈明だ/疑惑全容解明の責任は残る

2016-01-30 12:00:50 | ほん/新聞/ニュース
午後からWANの理事会があるので、名古屋に来ています。

出先でネット環境がよくないので、昨日下書きに入れておいた
「甘利氏の辞任」の社説を紹介します。

朝日新聞、毎日新聞、河北新報の社説、
いずれも真相解明を求め、辞任であいまいに幕引きすることに批判的です。

マスコミは、この問題をとことん追及してほしいです。

  社説:甘利氏の辞任 幕引きにはできぬ
2016年1月29日(金)付 朝日新聞

 大臣室での現金授受疑惑が報じられた甘利経済再生相が、辞任した。

 甘利氏はきのうの記者会見で、大臣室と地元事務所で50万円ずつ2回、計100万円を受け取ったことは認めたが、政治資金として適切に処理したと説明した。

 一方で、地元秘書が寄付として受け取った500万円のうち、300万円を個人で使い込んでいたことを明らかにし、「国会議員としての監督責任や閣僚としての責務」などに鑑み、辞任を決意したという。

 安倍首相が続投させる考えを繰り返す中での突然の、そして釈然としない辞任劇である。

 疑惑の発端は、千葉県の建設会社の総務担当者が、独立行政法人都市再生機構(UR)との補償交渉にからむ「口利き」を甘利事務所に依頼、見返りとして現金や接待で1200万円を渡したとする証言を、週刊文春が掲載したことである。

 甘利氏や秘書に「口利き」の意図がなかったのかどうか、実際にURにどんな働きかけをしたのかなど、きのうの甘利氏の説明では、多くの部分がなお未解明のままだ。

 告発者の言い分との食い違いは、なお大きい。甘利氏にはさらに調査を進め、結果を速やかに公表する責任がある。

 国会の役割も大きい。

 甘利氏側と告発者の双方を招致して、それぞれの言い分を精査すべきだ。URや、URを所管する国土交通省とのかかわりも調べる必要がある。

 疑惑のさなかに、自民党の中から気になる声が聞こえた。

 党幹部から「わなを仕掛けられた感がある」といった発言が続いたのだ。現金を受け取った甘利氏の側が、あたかも被害者であるかの言い分である。

 趣旨のはっきりしない多額のカネが、いとも簡単に政治家に提供される。そして、政治家の側はよく知らない相手からでも当然のように受け取る――。

 党幹部の発言は、一部の政治家の間では、こうした現金のやりとりが日常的に行われている実態をうかがわせたとも言えるのではないか。

 甘利氏には、難航を重ねた環太平洋経済連携協定(TPP)を、粘り強い交渉で合意に導いた功績があるのは間違いない。安倍内閣にとっても、大きな痛手であろう。

 だからといって、閣僚を辞することで疑惑に幕を引くことは許されない。真相解明とともに、「政治とカネ」の問題にどう襟を正していくか、国会にも安倍首相にも問われている。 


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 社説:甘利氏辞任 説得力を欠いた釈明だ
毎日新聞 2016年1月29日 

 「政治とカネ」がまた、内閣を直撃した。甘利明経済再生担当相が口利きの見返りなどで自身や秘書が現金を受領したとされる疑惑をめぐり、辞任を表明した。アベノミクスの経済政策や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の司令塔だった政権の要を失った影響は大きい。

 甘利氏は記者会見で自らの2度にわたる現金授受や秘書による300万円のヤミ献金受領を認めており、辞任は当然だ。だが、説明にはなお多くの疑問があり、説得力を欠く。国会は事態の解明を急ぐべきだ。

 「閣僚としてのポストは重いが、自分を律することはもっと重い」。甘利氏は記者会見でこう述べ、「けじめ」と引き際を強調した。だが、本当にそうだろうか。

 疑惑は千葉県白井市の建設会社側が「都市再生機構」(UR)とのトラブル解決の口利き依頼や見返りとして、甘利氏や秘書に合計約1200万円を提供したというものだ。建設会社の総務担当者の告発に基づき「週刊文春」が報じた。

 甘利氏は2013年11月に大臣室で50万円、14年2月にも地元事務所で50万円を受け取ったとの指摘に最初は「記憶があいまいだ」と語っていた。

 記者会見で甘利氏は2度の授受を認め、政治資金として適正処理を指示したと説明した。「紙袋に入ったのし袋」「菓子折りの入った紙袋と封筒」など、甘利氏が認めたのは旧態依然とした不明朗な金銭の授受だ。甘利氏は2度目の現金授受の際、総務担当者と産廃をめぐるトラブルが話題になったことも認めた。時期の違う政治献金を一括して処理したとする説明は不自然で、違法の疑いもある。

 事務所や秘書の関与に至っては、あきれるような実態である。甘利氏は総務担当者から秘書が500万円を受領していたことを認め、300万円は秘書が使い込んでいたと説明した。秘書が総務担当者から飲食などの接待を受けていたことも認めた。自ら進んでけじめをつけたと言うよりは、辞任に追い込まれたというのが実態だろう。

 URからは建設会社に多額の補償金が支払われている。政治家や秘書が口利きで報酬を得ることを禁じる「あっせん利得処罰法」に違反する疑いも指摘されている。秘書はUR側に係争の状況を確認したことは認めたものの、働きかけは否定したとされるが、徹底した究明が必要だ。

 「政治とカネ」をめぐる閣僚辞任は第2次安倍内閣発足から4人目だ。安倍晋三首相は甘利氏の続投を容認するような答弁をしていたが、これでは事態の認識が問われる。首相の責任は重大である。  


 社説:甘利経済再生相辞任/疑惑全容解明の責任は残る 
2016年01月29日 河北新報

 金銭授受疑惑で説明責任を問われた甘利明経済再生担当相がきのう、会見で閣僚を辞任すると表明した。
 週刊文春の報道で甘利氏と秘書らに関わる疑惑が表面化してから1週間。甘利氏は会見で、自らに関する部分について政治資金としての適正な処理を強調しつつ、適切さを欠いた秘書らの監督責任を取る形で身を引いた。
 甘利氏は安倍晋三首相の盟友。第1次安倍内閣以降、第2次、現在の第3次改造内閣まで閣僚を担い、長く政権を支えてきた。安倍政権の看板政策「アベノミクス」の関連施策を仕切り、交渉を一手に担ってきた環太平洋連携協定(TPP)は署名式目前で、国会承認も控える。
 今年夏の参院選を前に、論戦の主戦場である予算委員会で集中砲火を浴びるのは避け得ない状況。国政への影響を最小化する「捨て身」の対応で安倍政権を守るとともに、政治家として自ら負う傷を浅くとの思惑もあろう。
 「政治とカネ」をめぐる醜聞は絶えない。一昨年、小渕優子経済産業相(当時)らが辞任。昨年2月の西川公也農相(同)と続き、そして今回の甘利氏である。不明朗なカネとの関係を断ち切れない現状に、国民が再び政治不信を募らせるのは必至で、政権中枢の一人で側近の辞任は安倍政権に打撃を与えよう。
 週刊文春の報道によると、千葉県の建設会社から都市再生機構(UR)とのトラブル解決の謝礼などとして甘利氏が現金計100万円を直接受け取った。秘書を含め甘利氏側への現金や接待などは証拠が残っているものだけで1200万円に上るという。
 甘利氏は現金の授受を認め、政治資金報告書に記していると説明した。ただ、金銭提供の趣旨などに曖昧さが残り、秘書が受領した部分について一部を流用していたとし、監督不行き届きを認めた。
 自らの違法性は否定し、秘書については不明をわびる。閣僚辞任という形を整えつつ、秘書に不始末の責任を押し付けた印象を拭えない。
 菓子折りに入った封筒に気付いていながら、大臣室などで現金をあっさり受け取り、秘書に処理を指示するだけにとどまった甘利氏の金銭感覚は正常か。構えの緩さは否めず、疑惑を呼び込んだ責任を免れない。
 秘書らの対応などについては調査途上で、甘利氏の辞任で幕を引いてはならない。「口利き」があったのか否かを軸に引き続き、詳細な聞き取りを進めるなど、疑惑の全容解明を急ぐのは当然だ。
 「信なくば立たず」。政治の要諦を持ち出すまでもなく、甘利氏はさらに説明を尽くす責務を負うことを忘れてはならない。
 疑惑報道をめぐっては、隠し録音や写真の存在を踏まえ、自民党内には「(甘利氏は)わなを仕掛けられた」(高村正彦副総裁)などと、同情論が出ていた。確かに特異な側面はあるが、身内に甘いと言わざるを得ない。
 高木毅復興相の選挙区内での香典支出問題もくすぶる。「自民1強」の緊張感を欠いた国会で、襟を正す機会にもしなければならない。


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