社民党 京都府連合 野崎靖仁 副主席語録
社会民主党 中央規律委員 野崎靖仁、55歳。
日々の思いを綴ります。
 



佐藤雅美『十五万両の代償 十一代将軍家斉の生涯』(講談社文庫)
を読む。



五十三人もの子宝に恵まれた十一代将軍、
徳川家斉。

教科書に登場する「寛政の改革」「天保の改革」は
家斉が将軍、大御所として生きていた時代の話です。
(「天保の改革」そのものは家斉の死後ですが…)

二つの改革の間に挟まれていたのが、
「田沼意次の再来」と呼ばれた老中・水野忠成の時代。

爛熟した化政文化の政治家としてマイナス評価された水野忠成を、
マネーサプライを増やして景気を活性化させ、
幕府の財政を好転させたとしてプラスに評価しています。

この辺りは田沼を評価した『田沼意次―主殿の税』と同じです。

『田沼意次―主殿の税』
『十五万両の代償 十一代将軍家斉の生涯』
『調所笑左衛門―薩摩藩経済官僚』
『大君の通貨―幕末「円ドル」戦争』

と続けて読むと、教科書とは別の江戸幕府が見えてきます。

タイトルの「十五万両の代償」とは、
家斉と実父治済が高い官位を得るためにかけた費用が十五万両。

水野忠成によって好転した幕府の財政も、家斉と治済の官位上昇や
家斉の子供を養子に出したり嫁がせるための費用として濫費され、
財政悪化につながっていきます。

また、薩摩藩を通じて朝廷工作を進めるため、
長崎貿易の拡大を認めたことが薩摩藩の財政再建につながり、
維新への原動力となったことも歴史の皮肉です。

質素倹約が財政再建につながらず、
贅沢のための費用捻出が財政再建につながる。
しかし、浪費が財政を悪化させる。

経済とは難しいものです。

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