prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「キャノンフィルムズ爆走風雲録」

2016年08月23日 | 映画
メナハム・ゴーランとヨーラム・グローバスというイスラエル出身の従兄弟同士が組んでアメリカで作った映画製作会社、キャノン・フィルムはまあ一時期あきれるほどに量産していた。
メジャー全体が10年かけて作る本数を1年で作ってしまうといった調子だったのだが、1990年代初めに潰れ、過ぎてみるとあくまで彼らはイスラエル出身のよそものだったという印象。

同じ時期にやはり「ランボー」の2、3などの大作を連発して存在感を示したカロルコ・ピクチャーズのアンドリュー・ヴァイナとマリオ・カサールがそれぞれハンガリー、レヴァノン出身という具合にアメリカ外から乗り込んで大旋風を巻き起こしたが、これまた同時期、1990年の中頃に潰れた。

潰れた理由とすると、当時のハリウッドのトップが金融業界出身者で占められることになって映画そのものに興味をなくしたのと、とにかくあまりに粗製乱造が過ぎたのと、製作費の高騰などが挙げられる。

フレンチ・レストランで両手にスープの皿を持って客がゴーランだと知ると頭上にハイキックをやって見せたウェイターというのが、ジャン=クロード・ヴァン・ダムというのが可笑しい。さらにオフィスに呼ばれて椅子を二つならべて両脚開脚して見せたというのがまた可笑しい。

コンチャロフスキーがソ連を出て「マリアの恋人」を作るまで、まるで自分は無名だったと語るのが奇妙な感じ。文芸映画「貴族の巣」「ワーニャ伯父さん」で、すでに国際的な名声を得ていたと思っていたが、ごく一部のインテリ層の話だったということで、そこから「暴走機関車」はともかくスタローン主演の「デッドフォール」にまで行ってしまうのだから、すごい振り幅。

ブロンソンのアクションものを売るのにカサヴェテスやアルトマン作品を抱き合わせで売る、という不思議な発想はどこから来たのだろう。

チャック・ノリス、ヴァン・ダム、ブロンソン、スタローンなどの金のかかったB、C級作品を安く早く作る一方で、ベルイマンやフェリーニなどのアート系の映画を配給してそれなりの興行的成功を収めたロジャー・コーマンとスタンスが近そうで、金の管理の厳しさが違ったということか。



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