[06:14:40] comet Morigi: まず、訳語の訂正から。
[06:15:35] comet Morigi: できれば、講座をバイリンガル化したくて。試しに、案内告知から日英併記しました。
[06:16:21] comet Morigi: そこで、ミカドを Gate to Emperor としたんですけど、
[06:17:01] comet Morigi: Emperor で名指してしまうと、謙譲の意を訳せない。
[06:16:46] comet Morigi: 「御門 みかど」 恐れ多くて名指せないから、せめて陛下の(=階段の下の)門に、という意味ですから。そこで、
[06:17:24] comet Morigi: Emperor に代えて、英語の「陛下 Your Majesty」に掛けて、Gate to Majesty (崇高への門)とすれば「御+門」の婉曲な謙譲を訳せると思いました。
[06:18:15] Yan Lauria: (あら、カランさん、ここで会うとは^^)
[06:18:23] Caran (caran.juran): こんばんわ^^
[06:18:33] comet Morigi: Caranさんは、私がお招きしました。
[06:19:54] comet Morigi: と言いますのは、私が「神道展示室の入口だから、聖域の入り口であるはずの鳥居を置いても、まっいいかっ」と、妥協しかけていた時、
[06:20:41] comet Morigi: Caranさんから「鳥居、変だね」と言われてしまった。
[06:21:16] comet Morigi: なぜ、私が「神道展示だから、まあいいか」と妥協しかけていたのに、Caranさんは許せなかったんだろう?
[06:22:15] comet Morigi: じつは、Caranさんが、この展示室に来た時、この美術館和訳のことで、相談してたんです。それで、確認にお立ち寄り頂いたおり、そこの鳥居が目に飛び込んだ。
[06:22:09] Rouki Furse: 鳥居の構造がおかしかったー・・・・とかですか?
[06:22:16] Yan Lauria: 鳥居の形が変
[06:22:46] comet Morigi: 鳥居の形じゃなくて、置き場のことです。
[06:23:19] comet Morigi: 翻訳や語学の時、ネイティブチェッカーに、頼るでしょ?
[06:23:45] comet Morigi: どのネイティブを頼るか、選び方が難しい。
[06:24:29] Yan Lauria: (僕の英会話の先生がミラノに住んでる)
[06:24:36] comet Morigi: Caranさんは、在イタリアの日本人です。
[06:25:15] comet Morigi: こちら館内、キリスト教展示の中に、
[06:25:32] comet Morigi: 聖フランチェスコ伝記壁画の一部 「聖痕の証」が有って、
[06:26:07] comet Morigi: イタリア系の人に聞いてみました。「聖痕って、なあに?」
[06:26:54] comet Morigi: Caranさんが「今でも、イタリアの新聞に時々聖痕騒ぎが載る。だいたい当事者間の妄想だろうけど」と教えて下さいました。
[06:27:21] comet Morigi: 十字架に貼り付けられた傷と同じ場所に、アザや傷跡のようなものが現れます。
[06:28:33] comet Morigi: 壁画「聖痕の証」は、フランチェスコ亡骸の手を取って、聖痕を確認し、聖人として認めた、その場面です。
[06:29:12] comet Morigi: 外国の宗教観を身に付けた日本人の方が、日本人自身の宗教観に、敏感になってたんじゃないか。
[06:29:51] comet Morigi: 外国語どれか一つでも通じると、母国語の文法に敏感になります。
[06:30:32] comet Morigi: それゆえ、私が見過ごした神道展示の文法ミスを、Caranさんが気付いたのだろう。と信じることにしました。
[06:30:52] comet Morigi: いずれにしても、詰めれば、神道展示は、
[06:31:04] comet Morigi: 展示=世俗のもの、世俗の時代のもので、
[06:31:25] comet Morigi: 礼拝の聖空間とは、異なります。
[06:31:48] comet Morigi: 神道展示の空間は、学芸員・学者が仕切っている。一方、
[06:32:16] comet Morigi: 鳥居の内側は本来、聖職者・神主が仕切ります。
[06:33:01] comet Morigi: そこの神道展示室の始めに、館長の鳥居解説が有って、
[06:33:34] comet Morigi: entrance to a Shinto space or shrine
[06:33:46] comet Morigi: 「神道空間・神殿への入り口」
[06:33:49] comet Morigi: とあります。
[06:33:54] comet Morigi: もう一歩詰めて、
[06:34:11] comet Morigi: to a sanctuary from the secular
[06:34:31] comet Morigi: 「俗界から聖域への入リ口」
[06:34:53] comet Morigi: と書けるようだったら、展示ミスは起きなかったと思います。
[06:35:15] comet Morigi: 神道展示室も、神道空間には違いない。でも、神道の聖域ではない。
[06:35:44] comet Morigi: こういうことは、ネイティブでないと、なかなか分からないですよね。
[06:36:46] comet Morigi: ラストサムライは(他の日本を描いたハリウッド映画と比べれば)、
[06:37:13] comet Morigi: 偏見をできる限り廃した力作だったと思います。
[06:37:48] comet Morigi: この鳥居、立っている場所は変ですけど、ちゃんと小石が載せてある。
[06:39:38] comet Morigi: 信長の桶狭間を引用したシーンでも、もう一歩詰めて、
[06:40:27] comet Morigi: もしも、これが山本五十六 真珠湾奇襲の元ネタだったことまで、描けていたなら、すごかったと思う。
[06:41:02] comet Morigi: でね、ミカドのネイティブチェック成功例を思い出しまして。
[06:42:06] comet Morigi: 真珠湾奇襲の映画 「トラ・トラ・トラ!」 (1970)
[06:42:49] comet Morigi: 山本五十六が開戦をためらいつつ参内する場面[1]では、
[06:42:59] comet Morigi: 天皇が映りません。
[06:43:18] comet Morigi: 代わりに、天皇の椅子だけ、二秒ぐらい映る。
[06:43:30] comet Morigi: ハリウッド映画なのに、そこまで描けた。
[06:44:03] comet Morigi: ネイティブ監督方式で、撮られてるからです。
[06:44:20] Yan Lauria: ネイティブ監督方式?
[06:44:24] comet Morigi: 前作「史上最大の作戦」1962 に同じ。 ドイツ人の演技は、ドイツ人監督
[06:44:49] Yan Lauria: (方言指導みたいなもん?)
[06:44:54] comet Morigi: 日本人の演技は、日本人監督が、脚本・演出・配役ともに仕切る。
[06:46:48] comet Morigi: この動画も是非お見せしたくて、探したんですが。
[06:47:19] comet Morigi: なんと、そのトラトラトラでさえも、アメリカ版と日本版に分かれて、
[06:47:51] comet Morigi: アメリカ公開版では、「天皇の椅子だけ」シーンが、カットされてます。
[06:48:21] comet Morigi: ネットに無料公開されているのはアメリカ版だけらしい。「椅子だけ」シーンを見るには、日本版を借りる・買うしかないようです。
[06:48:47] comet Morigi: アメリカ人には「椅子だけ」って、さっぱり分かんなかったんでしょうね。
[06:49:42] comet Morigi: 文句ばっかり言ってても、建設的では無い。どうすれば、Caranさんが見つけてくれた、鳥居の変な展示を修正できるでしょうか。
[06:50:10] comet Morigi: 「鳥居は、聖俗の堺、聖域の入り口である」という原則と、
[06:50:38] comet Morigi: それを館内に展示したい、館長の意欲と、両者を満足できるような方法があれば、めでたい。
[06:51:16] comet Morigi: アメリカ人にも分かるような、「椅子だけシーン」の撮り方、見せ方があればね。
[06:52:19] comet Morigi: ここの鳥居展示の文法エラーは、「聖域であるはずの鳥居の内側が、世俗空間だった」例ですけれども、
[06:53:26] comet Morigi: 反転して、「世俗空間のはずが、そこで祈っている来館者」「世俗空間を勝手に聖域扱いしてる来館者」の例を思い出しました。
[06:53:53] Ƿєℓℓ (pell.smit): そんなこともあるんだ^^;
[06:53:57] comet Morigi: 博物館で展示中の仏像の前に、お金が置かれてるの、見たこと有りますか。
[06:54:18] comet Morigi: 今日は、皆さんに聞いて、どれぐらいの頻度で行われてるのか、確かめたい。という私からの質問です。
[06:54:26] Yan Lauria: 賽銭なら、そこらじゅうに
[06:54:51] comet Morigi: Yanさん、博物館の仏像の前に、やたらに賽銭が置いてあった?
[06:55:03] marube Oh: 博物館ですか?
[06:55:22] comet Morigi: お寺だったら、箱が有る。
[06:55:13] Yan Lauria: 地下街で噴水があれば、たいてい賽銭
[06:55:43] Yan Lauria: トレビの泉のまね
[06:55:46] comet Morigi: 噴水は、博物館の賽銭とは違うかな。
[06:56:02] comet Morigi: あれは、カップルの縁起担ぎのような。
[06:55:38] はるか (haruka.mcmahon): モノリス大明神思い出したw
[06:55:47] marube Oh: お寺とか、仏壇屋さんの仏像の前にはあるな。。
[06:55:59] Yan Lauria: ビリケンさんとか
[06:56:12] comet Morigi: 問題は、博物館の中です。
[06:56:22] Yan Lauria: それは見たことないな
[06:56:24] Almond Andel: 見たことないですねー
[06:56:28] marube Oh: ないですね。。
[06:56:32] Ƿєℓℓ (pell.smit): ないです
[06:56:38] comet Morigi: これが重要なのは、礼拝と鑑賞、 聖行為と俗行為の違いだからです。
[06:56:41] marube Oh: 勝手にお金おくひとはいるかもしれませんが。
[06:56:47] Almond Andel: 仏像にも賽銭、するんだ(無知)
[06:57:21] Ƿєℓℓ (pell.smit): お金を置いた人にとっては、仏像そのものが聖なるものだったんでしょうね、
[06:57:41] Ƿєℓℓ (pell.smit): 置き場に関係なく。
[06:57:43] Yan Lauria: 仏像を題材にした作品を展示している美術館はよくあるのに、賽銭は見たことない
[06:57:52] comet Morigi: 博物館内、私が見た賽銭の例では、床・手すり・台座の上などに有りました。
[06:58:04] Yan Lauria: へー
[06:58:10] comet Morigi: やっぱり、少ないのかなぁ。
[06:58:25] comet Morigi: 私も、3回ぐらいしか見てないと思う。
[06:58:57] Ƿєℓℓ (pell.smit): (そもそも仏像があるような博物館に行かないです^^;)
[06:59:04] Yan Lauria: 「根津美術館庭園にある石仏にはお賽銭がしてある。お賽銭箱は無いので像にお金が乗っている。」
[06:59:19] comet Morigi: 東京国立博物館、京都国立博物館など。
[07:00:47] はるか (haruka.mcmahon): 大神社展いってきましたけど、展示物に対して鑑賞というより神具・神像として敬意をはらってる雰囲気がありましたね
[07:00:12] comet Morigi: このテキストは、新しい学会の紹介文[2]で、一般向けには読みにくいんですけど、
[07:00:27] comet Morigi: 仏像の賽銭の箇所だけ読んでも足りますし、
[07:00:35] comet Morigi: その箇所に限っては、すごく分かりやすいと思います。
[07:01:10] comet Morigi: この講座の目的は、一貫して「芸術とは何か」。
[07:01:36] comet Morigi: 「そんな広すぎるテーマでは、らちがあかない」と言われようがなんだろうが、
[07:02:01] comet Morigi: 広いなら広い中から、より基礎的なポイントを特定するために、皆さんと毎月話しています。
[07:02:39] comet Morigi: 「宗教美術館」は、そもそも矛盾をはらむ概念です。
[07:03:11] comet Morigi: 私は、設立者が、その矛盾を承知の上で挑んでいた、と思ってたんですが、改めて振り返ると、どうもはっきりしない。
[07:04:11] comet Morigi: 「芸術は、宗教から自立したことで、芸術足り得た」とするのが、オーソドックスな芸術学・美術史・博物館学の観点なのですから、
[07:05:00] comet Morigi: 「宗教美術」の想定は、その自立を否定し直すことで、芸術を明かそうとする野心が感じられる(自覚的にやっているならば)。
[07:05:59] Almond Andel: Sacred Artの訳に「宗教」をあてることに、議論があったことを、一応、言わせてください。
[07:06:14] Almond Andel: Sacredとは、「聖なるもの」
(次回講座へ続く)
[06:03:05] Yan Lauria: 横浜美術館にもガラスのピラミッド屋根が付いている
[06:03:28] Yan Lauria: って、コメットさんから聞いたんだっけ?
[06:14:16] comet Morigi: 今日の本題は、建築の影響関係ではなくて(それも追って取り上げたいんですけど)。
[06:03:41] Rouki Furse: ガラスピラミッドというと、ルーブルがまず思い浮かびますねw
[06:04:46] Rouki Furse: エントランスになってるんだ
[06:05:10] comet Morigi: 真ん中にドーンと屋根を付けるのは、真四角な建築に対する反動で。
[06:05:57] comet Morigi: 丹下健三建築の大半は、元ネタがどこかに有ります。
[06:06:25] Yan Lauria: 丹下健三だったの?
[06:08:24] comet Morigi: 丹下の東京カテドラル(1964 画像左)や代々木競技場1964 の元は、
[06:09:03] comet Morigi: ブリュッセル万博1958のフィリップス館、クセナキス設計(画像右)だと思います。
丹下憲孝 コクーンタワー(左) ”30 St Mary Axe,” London (右)
横浜美術館 オルセー美術館
[06:10:48] Ƿєℓℓ (pell.smit): 建築は著作物ほど気軽には作れないので、パクリも多いのでしょうかね
[06:13:17] Rouki Furse: ああ、ファンズワース邸’なんかもあちこちで模倣されてますね。
[06:13:44] comet Morigi: ファンズワース邸は、基本だもんね。
[06:14:17] Rouki Furse: あれを重ねると、高層ビル建築にもれなくなりますww
[06:14:44] Yan Lauria: あれれ、こないだ僕が作ったFarwellのカフェによく似てる!
[06:15:38] Yan Lauria: SLで家を作ったら、自然にこういう形になりそうな
[2] 木下直之「文化資源学の現状と課題」文化経済学第4巻第2号2004