ダルビッシュのケガについて説明したレンジャーズのジョン・ダニエルズGM[Getty Images]

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 現地時間7日、右ヒジ内側側副靱帯(ないそくそくふくじんたい)の断裂が判明したレンジャーズダルビッシュ有。開幕を目指して調整していたところから一転、チームを離れてニューヨークにいる専門医の診断を仰ぐこととなった。

 最後の決断は本人に委ねられているが、チームは手術を後押しする姿勢を見せる。レンジャーズのジョン・ダニエルズGMは「昨夏に炎症を起こした箇所と同じだが、今回は重症度が違う」と説明。選択肢は2つあるとしながらも、「避けては通れないもの(=手術)を遅らせるのかどうかということ」と手術の必要性を説いた。

 ダルビッシュの決断に注目が集まる中、テキサスの地元紙『ダラス・モーニング・ニュース』のエバン・グラント記者が、今回の件に関するブログを電子版に寄稿。記事によると、「もしもダルビッシュがトミー・ジョン手術を受けて1年間戦列を離れることになった場合、契約に含まれている保険が適用され、レンジャーズは補償を受けることができる」という。

 日本ではあまり馴染みのない文化になるが、アメリカでは長期契約などを結ぶ際、その中に負傷で長期離脱を強いられる場合に備えた保険がかけられることがあるとのこと。

 今回のダルビッシュの場合、今シーズンの年俸1000万ドル(約12億円)に対し、半分以上が補償される可能性があるとグラント記者は述べる。

 通常、この種の保険では60日間の免責期間が設けられ、その期間を終えた時点での残りの年俸の50〜75%程度が補償金として受け取ることができる額になるという。もしも、ダルビッシュのケガが昨シーズン終盤に負ったものの再発だと考えられる場合には、その分の日数もカウントされることになり、レンジャーズはより早く、多くの補償金を受け取ることができる。

 「数億円単位で保障されれば、新たな先発投手獲得に充てることができる」とグラント記者。あくまで推測だが、『どの道手術は避けられないのだから、なるべく早く受けて欲しい。今シーズンは補償金の緊急補強でどうにかするから...』というのがチームの本音かもしれない。

 靭帯の修復手術、いわゆるトミー・ジョン手術を受けることになれば、2015年シーズンを棒に振ることは確実となるが、一度切れた靭帯は手術なしでは戻らないというのが一般的な考え。

 ただし、ヤンキースの田中将大は昨年、同じく右ヒジ内側側副靭帯の断裂を負ったが、手術は回避。保存療法を選択し、約2ヵ月半のリハビリを経てシーズン中の復帰を果たしている。

 手術か、回避か…。メジャー4年目を迎えた日本のエースは大きな岐路に立たされた。