ヤマトの真摯な投げかけに、日本郵便は何を思う

ECのミカタ編集部

投げかけに応えなければならないのは、日本郵便だけではありません

『いい競争で、いいサービスを。』
 

 11月12日、ヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(以下「ヤマト」)は全国54紙に意見広告を掲載。それに伴い、意見広告を解説する特設ホームページを開設した。

「いい競争とは、何でしょう。」ヤマト運輸は説く。「それは『公平・公正な条件(イコール・フッティング)』のもとで生まれる競争だ」と。「対等な条件でアイデアを競い、切磋琢磨できるからこそ、お客様の利便性を高める商品やサービスが生まれる。そのことが、かならず経済全体の活性化につながると、私たちは信じています。」と広告の中で説明している。

その後は、日本郵便株式会社(以下「日本郵便」)の現在のあり方について言及している。

日本郵便は「郵便業務」をユニバーサルサービスとして維持することが義務づけられている。そして、サービスを維持する代わりに優遇措置が用意されている。ユニバーサルサービスとは、地域の分け隔てなく、だれもが利用しやすいように維持されるべき公共サービスをいい、電気や通信、水道などもユニバーサルサービスに含まれる。

そこで、日本郵便はユニバーサルサービスである「郵便業務」だけでなく、ユニバーサルサービスではない「ゆうパック」や「ゆうメール」などのサービスも提供しているが、「郵便業務」以外の部分は優遇措置から除外されているのか、という疑問点をヤマト運輸は投げかけた。

さらに、日本郵便が7月31日付で発表した「業務区分収支(2014(平成26)年度)」では、ユニバーサルサービスである「郵便業務等」「銀行窓口業務等」「保険窓口業務」の各事業は全て黒字であるにもかかわらず、郵政政策部会は日本郵便に対してこれまでの優遇措置に加えてさらなる優遇措置を実施すべきとの内容を発表した。

”このままでは、ユニバーサルサービスの確保という名のもと、ユニバーサルサービスではない貨物事業などの「その他事業」の大幅な赤字を補填するために、日本郵便に対する優遇をさらに強めようとしているとしか思えない”とヤマト運輸は警鐘を鳴らす。

次に、「スマートレター」や「レターパック」はオークション品などのやり取りに利用することを日本郵便は推奨しており、実際には荷物である場合があるのにもかかわらず、郵便業務として取り扱われているという現在の制度について指摘する。「『荷物を運ぶ仕事』なのに、『郵便業務』としてサービスを拡大し、しかも交通規制の免除や通関手続きの簡素化などの優遇を受ける事できるということは、『公平・公正な競争条件』にも、規制緩和の流れにも大きく逆行する」と。

最後に、国民に分かりにくい現在の「信書」の制度についても言及した。現在の法律では、「信書(手紙)」をひろく全国に運べるのは事実上、日本郵便の「郵便業務」だけである。「宅急便」や「ゆうパック」、「ゆうメール」、「メール便」などの「荷物を運ぶサービス」を使って「信書」を送ってしまった場合、罰せられる決まりとなっている。

しかし、問題は複雑で、同じ文面であっても送付する状況が違う場合や文面のわずかな違いによって、荷物として運べたり、運べなくなってしまったりする。知らず知らずのうちに信書を送ってしまうリスクを防ぐために、ヤマト運輸は「クロネコメール便」を廃止した。

ヤマト運輸は「いまの制度のままでは、対等な競争ができません。一日も早く、すべての宅配事業社が対等に競い合えることを希望します。」と主張している。


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