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2012年1月19日0時45分
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メタンガス発電、栃木県が導入へ 下水処理場で発生

 下水処理場で発生するメタンガスを発電に利用し、電気料金の節約と温室効果ガスの削減に取り組む方針を栃木県が固めた。利用せずに捨てていたエネルギーを有効活用することで、福島第一原発事故以降、綱渡り状態が続く電力の安定供給にもつなげたい考えだ。

■電気代節約・温室ガス削減

 計画では県央浄化センター(上三川町)に計200〜300キロワットの発電機を設置するため、新年度当初予算に設計費2千万円を盛り込む方向で検討している。発電開始は2015年度を見込んでいる。

 下水処理で発生した汚泥は、体積を減らすために消化タンクで発酵させるが、県央浄化センターでは年間約100万立方メートルのメタンガスが発生する。現在は4分の1をタンク加温の燃料に使っているが、残りは燃やして空中に放出している。

 このガスで発電して施設内で再利用すれば、県の試算では年間約178万キロワット時の電力が生まれ、東京電力に支払う年間約2千万円の電気料金が節約できる。東電の火力発電所で発生する温室効果ガスの約25%削減にもつながるという。

 同様の発電機は東京都や大阪府、京都府、山形市などで導入されており、県関係者は現地視察を通じて、試算値に近い効果が得られると判断した。

 昨年3月の原発事故に伴う計画停電の影響で、下水汚泥を建築資材に加工する県下水道資源化工場は約2カ月にわたって操業を中断した。夏には県の節電目標設定に伴い、7浄化センターが最大31%の節電を課された。「安定稼働のためにも、自前での電力供給がより重要になってきた。発電の効果を検証し、メリットがあると判断されれば他の浄化施設への導入拡大もありうる」と県幹部は話している。(吉野太一郎)

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