prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「スーパー・チューズデー ~正義を売った日~」

2012年04月13日 | 映画
政治の裏舞台での駆け引き、腹の探りあい、騙しあいをみっちり描くのも見ごたえ充分だが、甘い理想家みたいなことも言っていた主人公が手を汚したあとで犠牲者に対する寂寥感を本当に持ち続けているのがこの映画の他にあまりない財産に思える。
理想家が偽善者になったのは確かだが、作り手までが安直に理想を投げ捨てて現実はそんなものさとニヒっているのではないのが立派。

テレビ「24」の“史上最低の大統領”チャールズ・ローガン役だったグレゴリー・イッツェンが、ほとんどワンシーンだけだがまったく対照的な役で登場。
監督でもあるジョージ・クルーニーが俳優イメージとして、ずいぶんチャレンジングな役をやっている。
ほか、実力派キャストによる一筋縄ではいかない二重底三重底のキャラクターたちの応酬は見もの。

豪雨の中の車のフロントガラスに流れる雨水の影が顔に写って実際には泣いていなくても心の中で泣いているのがわかる場面など、「冷血」(フィリップ・シーモア・ホフマンがオスカーをとったトルーマン・カポーティ原作)のクライマックスを思わせ作り手の教養を見せる。
(☆☆☆★★)

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