獣の奏者 2王獣編 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2009年8月12日発売)
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感想 : 601
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この人のファンタジーには嘘がなくていいですよ。ぬるくなくていいです。
私は子供向けといえども、やたらきれいごとばかりとか子どもを舐めたようなウソくさい話というのが嫌いなんですが、この人の書くものにとても人気があるというのがそこらへんのことだとしたら何だか嬉しくなりますね。(著者の視線に、本業である「文化人類学の学者さん」ということも強く影響しているんでしょうね?あ、いや・・・?、もともとこういう視線の人だから「文化人類学」を志されたのかもしれませんね?)

この人の前作の「守り人シリーズ」は、実は読んでないんですが、2007年にNHKアニメで放送されてたんですね。
これが実によかったんですよ。(監督もあの「攻殻機動隊」で名を馳せた神山健治でしたしね。)でも、原作本まで読みたいとは思わなかったんです。「守り人シリーズ」はいちおう児童文学ということで、今さら文字を追っても、あのアニメを越えるイメージが浮かぶとも思えなくてね?(・・・というか、アニメの方に引きずられそうで。) それが今年の春から、またこの上橋さん原作のファンタジーがアニメになってましてね。
やっぱり面白いんです。
絵はやたらかわいいんですけど、この容赦のなさがたまりません。

聞けば、こちらはまったく児童向けに書かれたわけじゃなく、完全に大人向けに書かれたそうで、しかも、この2冊で完結してて続編など書く気は毛頭なかったそうなんです。それが、このアニメ化によって、細かいところのイメージを制作者たちにつつかれているうちにさらに奥が見えてきて著者の中でイメージがガゴーンと広がり、書く気のなかった続編ができあがってしまったと。(この8月に刊行されたらしいです。こちらはまだ読んでません。が、今、予約かけてます。)
アニメの最後は、この続編も混じえたような終わり方になるらしいのね?
それを知って、その続編はアニメで見るよりぜひとも本で読みたい!と思いまして、それならば、まずは、すでにアニメになっているこの前編2冊を読んだ次第というわけです。
たしかに、本の方が大人っぽい。アニメは、夕方の児童枠の放送のせいか、若干アレンジが加えられてます、・・・というかすでに続編のイメージとも混じってるのかな?
とにかく、ファンタジー嫌いな人でも、この上橋菜穂子と「十二国記」の小野不由美の2者だけは好きだという人がいるくらいですから、読んで損はないと思います。

※)アニメ「精霊の守り人」:http://www.moribito.com/
※)アニメ「獣の奏者 エリン」:https://bit.ly/35Bkp5u

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童文学・ファンタジー
感想投稿日 : 2009年11月3日
読了日 : 2009年9月27日
本棚登録日 : 2009年9月27日

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