【4回ふられても私はまた、恋をした。なんてことだろう。あんなにつらい思いをしたというのに。きっとここにあなたがいる、傑作恋愛小説。 】
「八日目の蝉」を書いた角田さんの作品。
読み始めて気がついたのだが、恋愛小説だった。
「苦手なんだよなあ、恋愛小説って・・」と思いながらなかなか読み進むことができないでいた・・・
古平苑子(23才)がくまちゃんこと持田英之にふられる→持田英之(27)はゆりえにふられる→
ゆりえは保土谷槇仁と別れる→保土谷槇仁は希麻子と別れる→希麻子(36)は林久信と別れ・・・
と、つながっていき、林久信が希麻子と別れようと思った理由が野坂文太の存在で、
その文太の結婚相手は古平苑子で・・・
20代から30代とだんだんと年齢も上がっていくのだが、若い頃の話にはどうも共感できず、
まあ、若い頃は自分のこと、目の前のことしか見えないしなあ…
わけわからず悩んでたりするんだよなあ… と冷めた目で読んでいたのだが、
野坂文太の結婚相手苑子(くまちゃんにふられた過去をもつ)が、大人になっていいこと言うんだな。
「今、しかないじゃないの。 才能だのなんだのが有効なのはいつも今しかないじゃないの。
過去に何やったかなんて関係ないし、未来に何をしようが関係ない。今何ものでもなきゃ、
何ものでもないってことよ。今何かしなきゃ、未来につながるものだってなんにもないってこと
よ。ゼロかけるゼロはゼロで、文ちゃんは今ゼロなのよ、あなたの記憶とは関係なく」
「つまんない仕事ばっかやらされて、自分が地味でみみっちく思えて、格好悪いなあってずっと
思ってた。だけど・・・地味とかみみっちいとか、人生にぜんぜん関係ないじゃんって思うように
なったの。・・・・・・地味とかみみっちいとかキャリアとかお給料とか、人生になーんにも関係な
いんだって。なりたいものになるにはさ、自分で、目の前の一個一個、自分で選んで、やっつけ
てかなきゃならないと思うの。文ちゃんも今、そう思ってるんだと思う」
ゆりえも数年後、気づく
「なんか私、気づいたんだよ。今まで、自分がつまんないのを他人に押しつけてたって」
みなさん、いい恋愛をしてくださいね。
(人間関係は慈悲喜捨ですよ。求めても押しつけてもうまくいきませんよ。)
終わりまで読んだら、いい作品だった。
星4つ
みんな、いろんな経験をして大人になっていくんですね。