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「くまちゃん」 角田光代

2012年08月27日 | 読書

くまちゃん

【4回ふられても私はまた、恋をした。なんてことだろう。あんなにつらい思いをしたというのに。きっとここにあなたがいる、傑作恋愛小説。 】

「八日目の蝉」を書いた角田さんの作品。
読み始めて気がついたのだが、恋愛小説だった。
「苦手なんだよなあ、恋愛小説って・・」と思いながらなかなか読み進むことができないでいた・・・

 

古平苑子(23才)がくまちゃんこと持田英之にふられる→持田英之(27)はゆりえにふられる→
 ゆりえは保土谷槇仁と別れる→保土谷槇仁は希麻子と別れる→希麻子(36)は林久信と別れ・・・

と、つながっていき、林久信が希麻子と別れようと思った理由が野坂文太の存在で、
その文太の結婚相手は古平苑子で・・・

20代から30代とだんだんと年齢も上がっていくのだが、若い頃の話にはどうも共感できず、
まあ、若い頃は自分のこと、目の前のことしか見えないしなあ…
わけわからず悩んでたりするんだよなあ… と冷めた目で読んでいたのだが、

野坂文太の結婚相手苑子(くまちゃんにふられた過去をもつ)が、大人になっていいこと言うんだな。

 「今、しかないじゃないの。 才能だのなんだのが有効なのはいつも今しかないじゃないの。
  過去に何やったかなんて関係ないし、未来に何をしようが関係ない。今何ものでもなきゃ、
  何ものでもないってことよ。今何かしなきゃ、未来につながるものだってなんにもないってこと
  よ。
ゼロかけるゼロはゼロで、文ちゃんは今ゼロなのよ、あなたの記憶とは関係なく」

 「つまんない仕事ばっかやらされて、自分が地味でみみっちく思えて、格好悪いなあってずっと
  思ってた。だけど・・・地味とかみみっちいとか、人生にぜんぜん関係ないじゃんって思うように
  なったの。・・・・・・地味とかみみっちいとかキャリアとかお給料とか、人生になーんにも関係な
  い
んだって。なりたいものになるにはさ、自分で、目の前の一個一個、自分で選んで、やっつけ
  て
かなきゃならないと思うの。文ちゃんも今、そう思ってるんだと思う」

ゆりえも数年後、気づく

 「なんか私、気づいたんだよ。今まで、自分がつまんないのを他人に押しつけてたって」

 

みなさん、いい恋愛をしてくださいね。
(人間関係は慈悲喜捨ですよ。求めても押しつけてもうまくいきませんよ。)

終わりまで読んだら、いい作品だった。

星4つ 

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2 コメント

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Unknown (め~まる)
2012-08-28 00:27:35
表紙のかわいい絵からは恋愛小説だなんて想像できませんね。ドロドロしているのは嫌ですが、恋愛に限らず人として共感できる内容だとおもしろいですね。
Unknown (まる)
2012-08-28 06:55:51
後半がよかった。
みんな、いろんな経験をして大人になっていくんですね。

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