福島第1の樹脂散布、31日見送り 放射性物質飛散防止
東京電力は31日、福島第1原子力発電所で予定されていた合成樹脂の散布を見送った。天候不順が理由。4号機と6号機の周辺で約2週間かけて散布して地面を覆い、放射性物質を含む粉じんの飛散を防ぐつもりだった。原子炉の安定へ向け長期戦になるなか、大気や海水へ放射性物質が飛び散るのをどう防ぐかが課題となっている。タービン建屋内外に大量にある汚染水の除去は手間取り、本格的な冷却機能を取り戻すための作業は再開の見通しすらたっていない。
福島第1原発では1、3、4号機の原子炉建屋の壁が水素爆発などによって崩壊し、周辺にはがれきなどが散乱している。これらには放射性物質が付着している。強風が吹くと粉じんが上がり、周囲の空気中や海水に放射性物質を拡散させる要因になっている。
粉じん対策として散布する飛散防止剤は合成樹脂製で、埋め立て地などに広く使われている。約9千リットルの原液を15%の濃度に希釈し、計6万リットルを散布する。容量2千リットルの散水車を使う。試験的に散布し効果があれば、散布場所を拡大する。
一方、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能の回復の妨げになっている汚染水の除去作業を終えるには数週間はかかりそう。
1号機では24日から復水器に入れる作業をしてきたが、29日に復水器が満杯になりいったん中断したまま。復水器の水をタンクに移送する作業が必要となり、これまでの除去ペースだと、さらに1週間以上かかる。
2、3号機は、満杯の復水器を空けるために、まず、別のタンクに移し替える作業が続いている。タービン建屋内にある汚染水の量は定かでないが、仮に復水器の容量と同じだった場合、汚染水を復水器に移す作業だけで6~7日かかる。さらにタンク間の移動も入れれば、2週間近くは必要とみられる。
建屋外のトレンチと呼ぶ坑道にも1万トン以上の汚染水が見つかっているが、除去作業は進んでいない。
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