鳴子の米プロジェクト

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鳴子の米プロジェクト ーそのはじまりとひろがりー

 

中山間地域の米づくりの危機

 宮城県大崎市(おおさきし)鳴子(なるこ)温泉地域の山間にある鬼首(おにこうべ)地区の農業は、狭小な耕地・冷涼な気候という条件もあって、小規模農家による米、高冷地野菜、畜産等の複合経営で成り立ってきました。しかし米価の低価格と米づくりの大規模化政策により、多くの中山間地農業と同様に、鬼首地区でも生業としての農業を「あきらめる」農家が増えていきました。
それに伴って遊休地・耕作放棄地も増え、鳴子温泉の景観も荒廃するという危機にありました。

 

地域で農と食を支えよう-ゆきむすびの誕生

 2006(平成18)年、鳴子の農業、米づくりを守るために、農家、観光関係者、加工・直売所グループ、ものづくり工人の30名が立ち上がり、農と食を地域のみんなで支えていく「鳴子の米プロジェクト」がスタートしました。
同年には、鳴子の米プロジェクトのシンボルとして耐冷品種の「東北181号」(のちに「ゆきむすび」として品種登録)を選び、鬼首地区の農家3軒30aで試験栽培を行いました。冷涼な気候に合った低アミロースのこの品種は、栽培しやすく、またひときわおいしい米に育ち、農家の人に米づくりへの希望が生まれました。

 

作り手と支え手をつなぐ仕組みを

 鳴子の米プロジェクトでは、農家の米づくりを支えるために、予約購入する「支え手」を確保することで、「作り手」(農家)が安心して米づくりに取り組める仕組みをつくりました。1俵24,000円で支え手が購入し、18,000円を農家に渡し、残りの6,000円を事務経費と若い担い手を育成する事業資金にあてていくものです(*現在の金額は「米の販売」を確認ください)。

命をつなぐ米と農の大切さを多くの人に訴えながら、「支え手」の輪を広げていきました。地域内外の人々の思いと力が集まって、2007(平成19)年産米は、収穫時に予約完売することができました。このことは、作り手たちを励まし、「喜んでくれる人のために米をつくろう」という、手ごたえと誇りをもたらしました。そして、農業を支えてくれる人の信頼にこたえるために、労力をかけて天日干しの「杭がけ」にも取り組みました。

 

NPO法人鳴子の米プロジェクトの設立

 鳴子の米プロジェクトは、作り手と支え手の信頼関係を広げ、深めていく「つなぎ手」として、2008(平成20)年に特定非営利活動法人(NPO法人)を取得し、恒常的な組織となりました。当面の目標は、米の作り手、食べ手をつなぐ「鳴子の米販売ネットワーク事業」、地域資源を生かした食をつくる「鳴子の食の開発・販売事業」、次代の農と食の担い手を育てる「農と食の人材育成・交流事業」を進めていくことです。

これらの取組みは、若者をはじめ多くの方々の共感を呼び、ネットワークは全国に大きく広がっています。これからも、地域で農と食を守る原点に立ち返りながら進んでいきたいと思います。

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