【6月1日 AFP】韓国国防省は1日、一部の軍訓練施設で北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル、Kim Jong-Il)総書記の写真を射撃訓練の的としてきた慣習を中止させると発表した。

 韓国軍の報道官によると、ソウル(Seoul)周囲の京畿道(Gyeonggi province)などにある海兵隊員、陸軍兵、予備役の訓練施設の一部では、射撃訓練の的に金正日総書記の写真を用いていたという。

 複数の韓国メディアが5月31日、的として使われている金総書記の写真を公開していた。金総書記だけでなく、三男の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)氏、故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席らの写真もあった。

 韓国紙、朝鮮日報(Chosun Ilbo)は、韓国側で4人が死亡した北朝鮮による2010年11月の延坪島(Yeonpyeong island)砲撃事件の後、「戦意高揚」を目的に金一族の写真を的として使い始めたとみられるという軍関係者の話を報じた。

 1日に取材に応じた韓国軍の報道官は、金一族の写真使用を取りやめた理由は明らかにしなかったが、専門家の間には、緊張が続く北朝鮮との関係を悪化させたくないという計算があるのではないかとの見方もある。

 金一族の写真に対する尊敬を欠いた扱いは、北朝鮮では重罪に当たる。2007年には、洪水に見舞われながら、自身の子どもを犠牲にしてこのような肖像写真を救い出した両親の話が美談として報じられたという。(c)AFP