アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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辺野古工事目前!怒りの矛先はどこへ?

2015年07月25日 | 沖縄・翁長知事

         

 辺野古新基地建設の本体工事着工へ向け、沖縄防衛局は24日、事前協議書(一部)を沖縄県に提出しました。「協議の開始は埋め立て工事着手に向けた手続きの最終段階を迎えたことを意味する」(25日付沖縄タイムス)ものです。
 協議期間については、「具体的な時期は言及していないが同(防衛)省は『3週間をめど』として県に時期を提示している」(24日付琉球新報)といいます。工事強行はまさに目前です。(写真中は同日付の沖縄タイムスから。同紙は「24日に協議が始まった」としています)

 翁長県政与党の各会派は、「政府の焦りと強引さの表れだ」「県民への挑戦だ」(25日付琉球新報)、「県民無視だ」(同沖縄タイムス)などと政府を批判しています。
 しかし、事態はもはや安倍政権を批判するだけですむ段階ではありません。
 安倍政権に「県民無視だ」「県民への挑戦だ」と言ってみても、カラスに「お前は黒い」と言うようなものです。違憲法案を平気で強行採決するような独裁政権を相手に、当たり前の批判をしているだけでは勝てません。怒りの矛先はどこへ向けるべきでしょうか。

 協議書の提出に際し沖縄防衛局は、「前知事の埋め立て承認を強調し、『協議が整わない内容ではない』と強気の姿勢を示し」(同琉球新報)ました。協議書は仲井真前知事が埋め立てを承認した際の「留意事項」にもとづくものだからです。
 県は一応受理を保留しています。「受理すれば前県政の承認を前提にした手続きを進めることになる」(同沖縄タイムス)からです。しかし県幹部は、「県が埋め立て承認の留意事項で『「事前協議すること』と条件を付けているから、不受理とすることは難しい。不受理としてしまえば、防衛局は、『県が事前協議をはねのけた』と言って、大手を振って本体工事に入ってしまう。部分的な協議でも協議に入らざるを得ないのではないか」(同琉球新報)と言っています。

 協議書提出で政府・防衛省が攻勢に出て、県は進退窮まっている、かのような状況です。
 しかし、実は防衛省の「強行姿勢」も、県の苦境も、1本の柱で支えられた舞台の上でのやりとりにすぎません。その柱を倒せば、形勢は一気に逆転します。
 その柱とは、仲井真前知事の「埋め立て承認」であり、柱を倒すとは、それを「取り消し・撤回」することにほかなりません。

 協議書の提出は、「承認取り消しの判断が出る前に、一つでも既成事実を積み重ねるのが狙い」(比嘉瑞己県議、同琉球新報)なのです。そして、「埋め立てに着手するとなると、翁長知事の承認取り消しの判断に影響を与えるのは確実」(県幹部、同沖縄タイムス)です。

 つまり政府・防衛省は、翁長氏がいまだに承認の取り消し・撤回を行わないことをいいことに、「承認」に基づいた「合法的」手段で既成事実を積み重ね、取り消し・撤回を封じようとしているのです。
 もやは一刻の猶予もなりません。翁長氏に直ちに埋め立て承認の取り消し・撤回を表明させねばなりません(取り消しと撤回は異なり、取り消しではなく撤回をこそ行うべきですが、これについては別途考えます)。

 ところが当の翁長氏はどうか。シンガポールに出張中で、協議書提出については、「何も聞いていない。このような大事なことは情報が入らない中では話をできない」(同琉球新報)とノーコメントを決め込んだのです。
 「何も聞いていない」?そんなバカな話はありません。防衛局から協議書を受け取った末吉土木建築部長はその場で直ちに翁長氏に電話したはずです。もしほんとうに何も報告していないとすれば、更迭に値しますが、そんなことはありえません。翁長氏がコメントから逃げたのです。

 もういいかげんで「翁長タブー」から脱却しませんか。翁長氏が取り消し・撤回を棚上げして(公約違反)、安倍政権と秘密裏に協議を進めていることに目をつむるのは止めませんか。県政与党も、翁長氏を支持した県民も、琉球新報も、沖縄タイムスも。
 安倍独裁政権とたたかうために、怒りの矛先は翁長知事にも向けるべきです。

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