福島1号機格納容器内の放射性濃度、推定下回る 東電測定
東京電力は30日、福島第1原子力発電所1号機で原子炉格納容器の放射性物質濃度を測定したと発表した。内部の気体を取り出して分析したところ、放射性セシウムの濃度が推定を大きく下回り、1000分の1程度にとどまった。汚染水に溶け込んで原子炉建屋などへ流れた恐れがある。浄化処理で取り除く放射性物質が増えたり、周囲に汚染を広げたりすることが懸念される。
格納容器内の気体1立方センチメートルが含む放射性セシウム濃度は約20ベクレルだった。東電は、原子炉圧力容器が傷んだとみられることから、外側の格納容器で数万ベクレル以上に達していると推定していた。
気体中に無ければ、汚染水に混ざっていると考えることができる。セシウムを含む気体が建屋に出た可能性もある。
東電は30日の会見で「この濃度だけでは(圧力容器の損傷度合いなど)原子炉内の状況は分からない」と説明した。
福島第1原発は放射性物質の飛散を防ぎ、原子炉を安定して冷やす作業に取り組む一方で、原子炉の詳しい状況はなお把握できないままだ。8月上旬には2号機の格納容器も調べる。
1号機は炉心溶融(メルトダウン)が疑われ、核燃料が圧力容器から格納容器に漏れたとみられている。通常運転時と比べて原子炉内の様子が大きく違うほど事故収束に向けた作業が難しくなる。
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