昨日の都市計画審議会で東京都が築地市場官製地上げに向けて、暴走に拍車をかけています。

イシハラ都知事は「公正な民主主義の行政の手続きを踏んだ」としたり顔で言うつもりでしょう!

しかし、汚染と液状化、そこに対する星の数ほどの嘘、それをふまえた行政プロセスの破綻ぶり、さらに直前での申し入れ書をだまし討ち拒絶し、農水省ともコンセンサスを得ずに、「工程表」通りに移転を進めることが到底通るはずがありません。

そしてこの後は都議会です!!
本来であれば、こんなことに賛成するほうがアタマがどうかしていますが、都議会議席数で拮抗している自公(1票少ないですが実質都知事与党)は官製地上げ推進です。

この審議会を受け、決着したかのようなメディアの偽装報道が続くかもしれないと思いますが(2008年の「専門家会議」の頃など、移転先のありえないほどの汚染が明らかになっているのに、どの在京メディアも「移転反対で大げさに騒ぐ人がいる」という論調ばかりでした。まったく原発安全神話そっくり、検察無謬神話そっくりです)、徹底して声をあげていく必要があります。

ノーを言い続けましょう!議会をチェックしていきましょう!


まずは状況をまとめて頂いたものを転記します。

7月29日東京都都市計画審議会が開催されて、豊洲市場予定地を「市場の位置」として認める決定をしました。「市場」は都市計画法では道路などと同じ「都市施設」として扱われ、その位置で良いか、住民や利害関係者の意見や他の行政機関との調整をはかった上で、審議会に掛けられ決定するという手続きを踏みます。

「市場」は大量の物資の搬出入が伴うために周辺の交通量も多くなり、建築基準法では、ごみ焼却場などと並び、一種の迷惑施設として扱われています。いずれにしても市場は、開設者が勝手に位置して良いものではなく、都市の全体のデザインから位置付けられるべき施設です。今回の場合、市場の開設者は東京都で、審議するのは東京都の審議会なのですが、ご多分に漏れず、御手盛りの審議会でした。審議会には珍しく、複数の反対者はあったものの、賛成多数で通過してしまいました

今回の審議会の答申を受けて、都知事は都市計画決定をします。道路の様に、広域にまたがる都市計画施設の場合、国土交通大臣の認可が必要なのですが、今回はそうではなさそうです。東京都は特別区の場合、大臣の様に振る舞えるという特例が、都市計画法の中にあります。恐らく、都知事単独の決定になって行くと思われます。

都市計画法は、公共の福祉のために私権を制限する法律ですから、行政の暴走を止め、私権を守るために、行政に対して、十分な情報の提供と、住民や利害関係者の意見を聞くことを要求しています。では、今回の場合それらが十分に為されたのでしょうか。やっぱり、そうではなかったのです。

今回の計画の場合、計画案に対し、意見を述べる期間は、4年半前に終了しています!その後の受付は、認められなかったのです。通常2週間前、アセス絡みの案件でも最大1年前は有ると聞きますが、4年半前の平成19年2月16日に締め切りとは異様です。都が住民や利害関係者の意見など、鼻から聞く気のないことの表れです。締め切り後に、次々と発覚する、隠蔽されてきた土壌汚染の深刻さは、周知の事実です。そもそも都は、自ら進んで情報を提供したわけではなく、築地の仲卸や都民などが、努力してやっと、情報の扉をこじ開けたのです。

聞く耳を持たぬ都の姿勢に、疑問を感じた築地の仲卸等は、「意見を聞く機会をつくること」「審議を継続すること」など主旨の、審議会の委員あての申し入れを準備しました。審議会の担当部署は、一旦、審議会での配布を約束したので、築地仲卸等16名の署名入りの申し入れ書を託したのですが、直前になって拒否し、結局申し入れが審議会の委員に手渡されることはありませんでした。4年半で状況は一変しているのに、東京都により、住民や利害関係者の意見は、最後まで封じ込められたのです。29日の審議会開催が、都のHPで公表されたのが、直前の25日でもあり、都の情報の出し方にも大きな問題があったと感じます。これに関する抗議文も作成しました。(※下記)

この計画について、東京都が、関係する行政機関と、調整をはかったとは思えません。市場認可者である農水省(大臣)は、現在の市場の整備計画において、築地市場の廃止の文言を削除しています。また、豊洲では一部の汚染が除去の対象から外れるため、汚染対策後も汚染が残置されることがわかっています。その結果、土壌汚染対策法上も汚染地の看板が外せないことが明らかなのです。このままでは、農水省の認可の目途がたっているとは、到底言えない状況です。都市計画法の主旨からしても、これら東京都の暴走が、許されるべきものでは無い、と思います。

豊洲市場の本体工事についての予算は、今後、都議会で審議されることになります。このまま都が、移転への既成事実を積み上げることがない様、都や議会の動向に注意を払い、この理不尽な計画に終止符を打ちましょう。


【関連ニュース】
読売 2011/7/30
築地移転豊洲市場を認める決定 都計審都、秋にも工事着手
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110730-OYT1T00111.htm?from=tw

 都の都市計画審議会は29日、築地市場(中央区)の江東区豊洲地区への移転計画について、都の新市場建設を認める決定をした。都市計画決定を受けて、都は今秋にも建設工事に着工し、2014年度のオープンを目指す。
 審議会は都議や首長ら33人で構成。この日は、委員の民主都議が「土壌汚染が残る土地が市場にふさわしいのか」などと反対を表明。また、山崎孝明・江東区長が、豊洲地区を通る地下鉄建設推進など交通網の充実を要求。採決は挙手で行われ、賛成多数で同地区約40・7ヘクタールに市場施設を建設する計画が決定された。都では今年度予算に約21億円を計上しており、今回の決定を受けて、土壌汚染対策工事に着手する。しかし、来年度以降の予算を審議する都議会は、移転に慎重な姿勢の民主など野党側が優位に立っており、計画に遅れが出る可能性もある。
次に抗議文です。

東京都知事 石原慎太郎殿
都市整備局 局長 殿
都市計画審議会 委員長 殿
都市計画審議会 各位 殿

      「都市計画審議会の開催情報と、意見を述べる機会に関して」の抗議文 

    都市計画審議会の開催情報や内容について、都民の知る権利と、意見を述べる権利が奪われていると考え、下記の様に強く抗議するものです。

本日29日開催される第193回東京都都市計画審議会を開催につい東京都がホームページ上で公表したのは7月25日「最近の新着情報」欄に於いてです。審議会に付議される項目は、「東京都市計画市場第17号東京都中央卸売市場豊洲新市場 ほか」です。私たち都民が注意深くしていても、この議案が本日の都市計画審議会の議題になっていることを25日までは、知ることはできませんでした。

次に都市整備局「トピックス一覧で「第193回東京都都市計画審議会の開催予定について」を確認したところ、傍聴の申し込みが、既に7月15日で締め切られていることがわかりました。そもそも私たちは、実際上、傍聴の申し込みができなかったのです。また、同ページでは、この都市計画案の縦覧期間は、平成19年2月2日から16日までで、住民の意見を提出することができるのも同期間で終了していることがわかりました。都市整備局に問い合わせをしましたが、通常2週間前、環境アセス絡みでも、数カ月から1年程度であるということで、今回の4年半前というのは、異例のことだと分りました。

豊洲の用地が市場の用途として問題ないと「市場の位置」の都市計画を決定するための手続きが、今回の審議会です。既に終了した縦覧期間は、土壌汚染が次々と発覚する以前の期間であり、その後の状況はそれまでとは一変しています。新たな縦覧期間を置き、さらに住民に対する十分な情報を提供するのは、都市計画法第3条により、当然のことだと考えます。(申し入れ書は別紙)

その旨の申し入れを、28日審議会委員あて、都市整備局に都市計画課(猪瀬氏)に託しました。その申し入れにより、私たちの思いが審議会の委員に伝わることを希望するものですが「都民の知る権利と、意見を述べる権利」が奪われている点を、ここに改めて強く抗議するものです。                      以上

2011年7月29日
                    築地仲卸有志及び、都民有志一同

こちらが、拒絶され、都市計画審議会メンバーに届くことのなかった仲卸の方々の申し入れ書です。

東京都知事 石原慎太郎 殿
東京都 都市計画審議会 各位 殿    
                          2011年(平成23年)7月28日      

   議案第17号東京都中央卸売市場豊洲新市場(江東区)についての申し入れ書

日頃、都市の健全な発展のためにご尽力いただき、感謝いたします。

私は築地で働く者です。中央卸売市場、新市場用地に関しては、重大な関心がある利害関係者です。次の項目について申し入れを行うものです。

一、 議案第17号東京都中央卸売市場豊洲新市場(江東区)について、都市計画法第16条による「公聴会」を開いてください。

二、 同議案について、都市計画法第17条の「都市計画の案」について改めて「縦覧期間」をもうけ「意見書」を提出する機会をつくってください。

三、 同議案について、都市計画法第3条に基づき、情報の提供を十分におこなってください。特に、用地の土壌汚染と液状化について「安全の確認」が可能な情報を。

四、 同議案について、都市計画法第23条に基づき、関連都市施設(市場及び環状2号線)を所管する行政機関と調整を行ってください。

五、 上記、一から四までの項目ガ実施されるまで、都市計画審議会の審議を終了しないでください。

理由;

去る5月31日付「第193回東京都都市計画審議会」の開催について、付議される案件が公表されました。「議案第17号東京都中央卸売市場豊洲新市場(江東区)」です。これに関して、都市計区法17条(都市計画の案の縦覧等)に則り、意見を述べたいと考えましたが、公表された資料により、縦覧期間は平成19年2月2日から2月16日であり、意見を述べる期間もその期間で終了していることを知りました。

中央卸売市場の位置に関しては、私達にとって、生活にかかわる重大な問題なので、現時点でこの都市計画案に関して申し述べたい事が、数多くがあります。

その機会が確保されていないことに驚きを感じています。

縦覧期間から既に4年半が経ち、新市場を取り巻く状況は一変しています。H19年5月に始まった、土壌汚染に関する専門家会議で、縦覧時期には思いもしなかった重篤な土壌汚染が次々に発覚しました。縦覧までの、土壌汚染に関する都の説明は「東京ガスが対策工事を行うので問題が無い」というものでした。正確な情報であったとは言い難いものでした。さらに今年3月11日の大地震には、現地の108箇所もの液状化による噴砂が確認されていますが、これに関して説明は行われていません。また、市場を所管する農水大臣による卸売整備計画も縦覧当時の第8次から第9次(平成23年3月)へと移り、卸売市場の整備方針も新しくなりました。それにより、築地市場が水産、青果共に「中央拠点市場」と位置付けられました。これらのように、この4年半の状況の変化は明らかです。住民や利害関係者からの意見は、改めて聞く機会を設けるべきと考え、申し入れ項目(二)の実施を求めるものです。

3月11日の大地震による計画地の液状化では、あたらためて、埋立地の危険性を認識しました。汚染の移動による調査の問題や、液状化の対策の問題は重大な関心事ですが、都が「専門家の意見書」を都HPで公表したのは7月半ばで、それに関する説明は未だ行われていません。中央卸売市場は、災害時の食糧供給基地としての役割も担い、近県も含む広域に対し責任を負っています。「公聴会」を開き、十分な議論を重ねることが必要だと思います。申し入れ項目(三)の、情報提供と、申し入れ項目[一]の説明する機会、「公聴会」を行うことを求めます。

豊洲新市場用地へのアクセスに不可欠な環状2号線ですが、秋にも築地市場の施設の一部を撤去、市場を貫通する工事が行われようとしています。環状2号線はH19年12月、築地市場の廃止を前提に地下を地上案に計画を変更、国交省から都市計画事業の事業認可を受けました。当時は「築地市場の廃止」が、第8次の卸売市場計画にも載っていたので、省庁間に矛盾は生じていなかったと言えそうですが、第9次の卸売市場整備計画で、築地市場を中央拠点市場とすることが示された現時点では、都市計画に整合性がないことは明らかです。

さらに第9次では第8次に記載されていた、「築地市場の廃止」の文言も消えています。「築地市場の廃止」が前提の環状2号線は、完了する目処がたつのでしょうか。申し入れ項目(四)

関連行政庁(農水省、国土交通省)との調整をはかって下さい。

都市計画審議会には、以上の項目を十分満足した上で審議を進めていただきたく申し入れ項目(五)、お願いいいたします。

私たち、築地で働く者は、市場が「安心」「安全」を消費者に届けられるものであって欲しいと願ってやみません。いつもでもにぎわいのある市場が存続するように、上記申し入れを行うこととしました。              以上、宜しくお願い致します。  
☆☆築地市場移転問題原告団のサイトができました☆☆
http://tsukiji-wo-mamoru.com/index.html
ぜひご覧ください。拡散もお願いします。
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液状化した豊洲新市場予定地。東京都が速攻でブルーシートをかける前。
石炭からガスを製造し、廃棄物を野積みにし埋めていた複合汚染地域にも関わらず、東京都の調査物質数は限られています。
液状化(噴砂だと言っていますが、同じ現象です)、により、汚染物質が移動したことからも、過去の調査に基づいた対策が取れない状態です。
なのに、水平方向にしか動かないからと入札をかけ、移転を断行しようとしています。Like a rolling bean (new) 出来事録-1103豊洲新市場液状化_1

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