薄氷を踏む勝利か、井上尚弥

2017.01.04

カテゴリー:格闘技の話題

年末に行われた井上尚弥vs河野公平の一戦。

結果だけれ見れば井上が見事に河野をKOして、WBO世界スーパーフライ級のベルトを防衛してみせたわけだけれど、内容とはいえばパンチ力以外には・・・・・・といった感じだった。

最も由々しきことだと思うのは集中力の欠如。常に注意力散漫で、貰わなくてよいパンチを多く被弾していた。

言い方は失礼だけれど、河野公平だからそれでも勝てたわけで、これがずっとパンチのある相手との試合だったら、KOされないまでもダウンを取られていた可能性があったと思う。

この注意力散漫は、ここ数試合ずっとそう。ボクシングの練習は十分以上にしているだろうから、今後は心のトレーニングもやってもらいたい。

精神力が最強になれれば、ロマゴンにもきっと勝てる・・・・・・と思うんだけどなあ。

ちなみに年末格闘技のMVPはシュートボクシングのRENA。勝利に対する執念、練習に裏打ちされた丁寧な技術、相手も観客も意表をつく大技、そして三日月蹴りで相手を倒した後に追撃に行かない冷静さ、どれも素晴らしかった。

RENAは桜庭和志に次ぐ、格闘技のスーパースターになれる素質があると思う。シュートボクシングだとグローブが大きく、パンチのなさが気になっていたけれど、総合はウイークポイントをカバーでき、実に向いていると思う。

井上尚弥もRENAも頑張れ!

※敬称略


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内山高志の敗戦の原因

2016.04.28

カテゴリー:格闘技の話題

多くの人が衝撃を受けた、WBA世界スーパーフェザー級王者・内山高志の敗戦。

左フックがもろにカウンターのタイミングで入ってしまい、事実上、その一発でジ・エンド。内山高志の唯一の弱点であるアゴの弱さが影響してしまい、その後は立て直すことができなかった。

新チャンピオンとなったジェスレル・コラレスは、ハンドスピードが内山よりもずっと早かった。その自慢の強打をブンブンと振り回してくるうえに、構えを左右にスイッチするという器用さも見せ、内山を見事に撹乱して2回にKOしてしまったのだから恐れいった。

作戦としてはおそらく、内山の目が慣れる前に強打で数回ダウンを奪い、スタミナが切れてからはディフェンスで逃げ切る、というものだったはず。それがズバリとハマった形となった。

日本ボクシング史上五指に入るディフェンスマスターの内山をKOしたのだから、これはもうコラレスを褒めるしか無い。仮にリマッチしたとしても、相性的に同じ結果になると思う。

前にも指摘したけれど、内山はクラウチング的な姿勢で上体が低く、頭から突っ込んでくるようなタイプに弱い。姿勢のよいアップライトの構えの内山は、どうしたって相手の頭が気になってしまい、つまりは三つの攻撃を受けてしまう感覚に襲われるんだと思う。

年齢的にボクシングを続けるかどうかは微妙であるけれど、一度KO負けをしただけなのだから、まだまだできるはず。

まだまだ、まだまだ、内山高志!

※敬称略


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山中慎介vsリボリオ・ソリスを見て

2016.03.05

カテゴリー:格闘技の話題

昨日2016年3月4日、WBC世界バンタム級チャンピオンシップ、山中慎介vsリボリオ・ソリス。

多くの方が結果は知っていると思うけれど、3-0の判定で山中慎介が10度目の王座防衛に成功した。けれども、内容はといえば過去最低。早いラウンドからずっと動きが悪く、終始力強さがなかった。

ダウンは二度ほど取ったけれど、重大なダメージを負わせるだけのものではなく、逆に山中が喫した3Rの二度のダウンはあれで勝負が決まってもおかしくはなかった。

この試合で尽きるのは、山中のコンディションが悪かったこと。肌ツヤ悪く体に厚みがなく、いつもの力強さがまったくなかった。試合前から大丈夫かと、ボクシングの仲間内で話をしていたら案の定だったわけで。

原因はわからないけれど、アンセルモ・モレノとやった時とはコンディションがまったく違ったと思う。あの時の山中だったら、ソリスをKOできたとは言わないけれど、ここまでは追い詰められなかったはず。

とはいえ、世界王者として10度も防衛戦をすれば常に体調100%であることのほうが難しく、悪いなら悪いなりにまとめられることは、山中が本当に強いボクサーである証。

課題といえば今回のソリスのように、右を変則的に強振してくる相手に対してのディフェンス。山中は強打者ゆえにガードが低く、今回は体調が優れないせいでソリスの右がまったく見えていなかった。

攻撃が持ち味のチャンピオンだけれど、攻守のバランスはもう一度組み立て直しですな。

2ダウンも取られたのだから、再試合は受けるべき。ただし、ソリスが言うようなホームタウンディシジョン的なことはなかったと思う。パンチを受けて膝を着いたのだから、そりゃお前のダウンだろうということ。

※敬称略


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