不動産ネット取引、来春にも試行
国土交通省はインターネットを使った不動産取引を早ければ来春から試験的に始める方針だ。現在は取引条件などの重要事項を対面で説明し、契約内容を記した書面を交付するよう不動産会社に義務づけている。最長2年間とした試行期間は法人取引と個人の賃貸契約に限り、重要事項の説明をテレビ電話でできるようにする。
学者や業界代表などで構成する28日の検討会で明らかにした。通常の電話や電子メールでは説明者が有資格者であることや重要事項を正確に伝えることは困難とし、双方の表情が確認できるテレビ電話のみ有効と結論づけた。個人の不動産売買はとくに丁寧な説明が求められるため、今回は対象外とした。
実際の取引にあたっては本人の同意を得たうえで、あらかじめ重要事項説明書を送付するほか、説明中に録画・録音を徹底するよう求める。施行後の検証を踏まえ、本格的に運用を始めるか改めて検討する。
不動産の売買や賃貸契約がネットでできるようになれば遠方から現地へ出向く手間が省ける。楽天などIT業界がネット取引の解禁を求める一方、なりすましや名義貸しなど違法取引が増える可能性も指摘されている。