角田市長に出した要望書の回答

先日、角田市長に「放射能から角田を守る会」から提出した要望書に回答がありました。以下に全文を掲載します。
読みやすさを考慮してテキストで掲載しますが、ページ最下部に押印のあるpdfファイルへのリンクも用意してあります。また、見比べられるように回答の下に先日提出した要望書も再掲します。

今日、回答があった事をうけて「放射能から角田を守る会」で話し合いを持ちましたが、評価すべき点、不十分だと思われる点などまだ話し合いを続けているところですので、今日は会の意見は掲載せず要望書の回答のみを掲載します。

これまで参加された事のない方でも、次回の話し合いにご参加ください。お待ちしています。(詳しくはこちらです
特にこれから除染を行う学校にお子さんを通わせているお父さん、お母さんの参加をお待ちしています。保護者の望む形で除染工事をしてもらうためには、作業への協力と確認も必要です。
会では現在、除染前の施設の放射線値測定と工事の監視を行っているところです。


角放第 14 号
平成24年6月29日

放射能から角田を守る会
代表 池 田 匡 優 殿

角田市長 大 友 喜 助

放射能から市民の健康を守ることを求める要望について(回答)
平成24年6月15日に提出された要望書に対し、下記のとおり回答します。

1 有効な除染態勢を図り、子ども・妊産婦に対する検査体制を敷くこと。

(1) 除染関係について
今年度除染実施予定の幼稚園、保育所、児童センター、小・中学校など子どもの生活する施設は、国の除染実施基準以下であつても全施設を対象とし、12月までに実施予定であります。
除染の実施方法は、空間線量率の測定結果及び施設の状況に合わせて判断することとし、基本的には、空間線量率の高い箇所の表土を除去したうえで覆上をします。
除去した土壌は、当分の間は現場保管とし、環境省が示したガイドラインにより安全に管理します。
公園等については、来年度に実施を予定しています。
市民ゴルフ場及びパークゴルフ場の利用に関しては、空間線量率を施設に表示し、利用者の判断で利用していただいています。
(2) 給食食材の放射能検査について
保育所、学校給食の食材の放射能検査は、それぞれ2~ 4種類を選定し、週2回、市所有の放射能測定機器により測定し、ホームページ及びお便り等で保護者の皆様へお知らせしています。
測定下限値は、20分の測定で、セシウム134及びセシウム137合わせて2 5Bq/kg以下となっています。
現在、保育所、学校給食につきましては、事前検査の品目を増やすなど、出来る限りの、あらゆる方法を用いて、子供たちの安全で安心な給食の提供に努めています。
(3) 健康調査について
健康影響調査の実施については、各県の判断に委ねることなく、国の責任と判断において、実施の必要性や対応方針について明確な基準を早急に示し、必要があると認められた場合は、国の責任において調査を実施するよう求めております。
宮城県においては、昨年12月と本年1月に、丸森町筆甫及び耕野地区の小学校6年生以下の子どもを対象に、甲状腺超音波検査及びホールボディカウンターによる内部被ばく線量の測定を実施したところ、
①  甲状腺については一部の人にしこりが認められたが、原発事故により発生したとは考えにくく治療の必要性がない。
②  受検者からセシウム134・137とも検出されず、健康に影響はない。
という結果でありました。
これを受けて、1月24日の第2回官城県健康影響に関する有識者会議では、今後の対応策案として、次のことが示されました。
① 放射線に対する正しい知識の普及啓発

② 一般検診やがん検診の受診勧奨

③ 生活習慣等の改善による発がんリスクの低減などであります。
角田市においては、第2回官城県健康影響に関する有識者会議での判断に基づいた県の対応策に準ずることとし、現時点では健康調査は実施せず、国や県において、健康調査が必要であると判断された時点で、迅速に対応したいと考えています。

2 ガラスバッジの配布・装着を行うこと。

 調査機関と協力し、実施に向けて検討中であります。

3 阿武隈川からの取水利用を廃止し南部山浄水場の水道水に切り替えること。

角田市の水道水は、昨年の3月から東北大学に検査を依頼、今年の5月31日からは財団法人宮城県公衆衛生協会に依頼して検査をしていますが、セシウムについては、昨年8月8日の検査で、0 .4Bq/kgが検出されて以来検出(検出限界以下)されていません。
昨年最後に検出された数値についても、平成24年4月から国で定められている数値10Bq/kgと比較しても非常に少ない数値であり問題はありません。
隈東地区の本道は、阿武隈川の水を枝野浄水場で浄水した水に仙南・仙塩広域水道水を加えて枝野配水池から配水していますが、隈東地区に送る配水管の口径が細いため限界があるもののできるだけ多く配水しています。
また、平成24年度で東根橋に架かる配水管を布設替えする予定で、布設替えの終了後は広域水道水の量を更に多く配水する予定です。
また、阿武隈川から取水して浄水している枝野浄水場は昨年の大震災の時、仙南・仙塩広域水道が断水した際も施設が機能して角田市の水の供給に大きな役割を果たしており、災害時の自己水を確保するためにも枝野浄水場は運転する必要があることから現状を維持する予定です。

4 放射能危険を訴える研究者の講演会を実施すること。

健康に対する不安払拭のためには、放射線に関する正しい知識の啓発普及を継続的に行っていくことが重要と考えておりますので、今年度も講演会等を開催する予定です。
講師の選定については、国、県のアドバイスを得て偏らないよう考慮したいと考えております。

5 放射能問題について市民との定期的な話し合いを実施すること。

講演会の開催に合わせて、市民の皆様のご意見等を聞く機会を設けたいと考えております。

6 上記に係る費用については、東京電力と国に請求すること。

除染に関する経費は、国の基準に従い補助金の交付申請をします。それ以外の経費は、東京電力へ損害賠償請求をします。

【担当課】
除染関係等
総務部放射線対策室 63-1068
給食食材関係
教育委員会教育総務課 63-0130
市民福祉部子育て支援課 63-0134
健康調査関係
市民福祉部健康推進課 62-1192
水道水関係
水道事業所 63-0135



平成24年6月15日

角田市長 大 友 喜 助 殿

角田市小坂字石原55‐2
放射能から角田を守る会
代表 池 田 匡 優

放射能から市民の健康を守ることを求める要望書

1 要望理由
東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、市民は放射能汚染にさらされながら、不安な生活を送っています。
特に放射能の影響を受けやすい乳幼児を含む子どもたち及び妊産婦の被ばく状況はどうなのか、いまだに解明調査されておらず安全だという市当局の主張は一方的な見方で、科学的根拠に乏しく多数の市民に対して理解されたとは言えません。このため私たちは放射能から市民の健康を守るため、下記の事項について要望します。

2 要望事項
① 有効な除染態勢を図り、子ども・妊産婦に対する検査体制を敷くこと。
(1) 小中高校生が多く利用する陸上競技場や野球場などのある運動公園、愛好者の多いゴルフ場・パークゴルフ場は、放射線量が最も高いにもかかわらず、利用されている。危険なことから利用制限を実施し、覆土方法でない表土除去や建物に対する高圧洗浄、芝刈り除草等の徹底化により除染を早めに行い、安心して利用できるよう早く取り組むこと。

(2)保育所、幼稚園、小中学校、台山公園等の校庭や広場、公共施設等について、ホットスポットもあることから測定個所をふやして隅々まで除染すること。
遊具設備や地面、側溝等の除染が行われていない個所が多いので実施すること。

(3) 空間放射線量率0.23μSv/時以下の境界付近について、放射線量の低減化 を待たずに除染作業工程の短縮を、より一層図ること。また除去した土草等は安全な管理下に置くこと。

(4) 給食センター及び保育所の給食用食材の放射能測定については、検出限界の精度をあげ、測定回数の増加と測定時間を長く取り、厳格な検査をすること。

(5) 子どもたちが、甲状腺検査、尿検査、血液検査及び内部被ばくの状態を把握できる長期的な健康調査を受けられるよう具体的措置を講ずること。また、希望する妊産婦に対しては、内部被ばくの状態が把握できる健康調査及び母乳検査を受けられるように配慮すること。

② ガラスバッジの配布・装着を行うこと。
角田市の子どもたちの健康を守るために積算被ばく線量が測定できるようガラスバッジの配布・装着を行い、内部被ばく状況を調査し、低減化策に活かすこと。

③ 阿武隈川からの取水利用を廃止し南部山浄水場の水道水に切り替えること。
隈東地区の水道水は、阿武隈川から取水し枝野浄水場から供給されております。
阿武隈川の汚染については、新聞などでも報道され、海に流れ出る放射性セシウムの量が1日当たり約500億ベクレルにものぼることがわかりました。 隈東地区の水道水は隈西地区の水道水に比べ、ほぼ10倍の放射性セシウムが検出されています。
私たちが安心して水道水を利用できるよう放射性セシウム、他の核種のより精密な定期検査、将来的には阿武隈川からの取水利用を廃止し、隈西地区と同じ南部山浄水場の水道水供給に切り替えるよう願います。

④ 放射能危険を訴える研究者の講演会を実施すること。
これまで角田市主催の講演会は、「角田市の汚染状況では健康に影響がない」とする大学教授の講演ばかりが行われ、安全だとする論陣を張ってきました。しかし、内部被ばくの権威である琉球大学名誉教授 矢ケ崎克馬先生などをはじめ、低線量被ばくの危険について警鐘を鳴らす多くの研究者の講演会は一切行われておりません。
市民の健康を守るべき行政は、「安全」と「危険」の両論があることを踏まえて、放射能汚染の危険性を話す研究者による講演会実施をするよう求めます。
さらに低線被ばくが及ぼす健康被害については、いまだに明確にされていません。「よくわからないことがある時、人々の健康を守るべき行政は影響があるかもしれない」という予防原則を持って、早急に体制を確立すべきです。

⑤ 放射能問題について市民との定期的な話し合いを実施すること。

⑥ 上記に係る費用については、東京電力と国に請求すること。

以上の要望事項について、6月29日(金)まで代表宛に文書でご回答願います。


要望書回答・pdfファイル/1.8MB

 

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