東京五輪協賛額、12社で1500億円超し最高に
2020年東京五輪・パラリンピックのスポンサー集めが好調だ。14日には、みずほフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループが大会組織委員会と契約を結び、協賛企業は全12社となった。スポンサー収入は組織委の目標である1500億円を既に上回り、五輪史上最高となるのは確実。国内企業の好業績を追い風に、「1業種1社」という五輪のスポンサーの慣例を破る手法も奏功している。
東京組織委は1月からスポンサー契約を始めた。最高位「ゴールドパートナー」の条件は、20年までの6年間で物品・サービス提供を含めて150億円前後。「(総額で)1500億円は超えた」とマーケティング担当者は話す。08年北京の約12億ドル(現在の為替レートで約1460億円)や14年ソチ(同1560億円)を上回り、五輪史上最高の国内スポンサー収入となりそうだ。
東京組織委の森喜朗会長は「アベノミクスが成果を上げ、企業の方々も協力しやすい環境にあるのだろう」と感触を語る。協賛社を国内企業で独占しているのも珍しい。北京、12年ロンドンでアディダスだったスポーツ用品部門の権利はアシックスが初めて獲得した。
企業側の積極姿勢を受け、オールジャパンに向けた知恵も絞られている。スポーツマーケティングでは「1業種1社」が慣例。同業他社を排除する独占的権利を与えることで契約金額も上がるからだが、東京大会は異例の相乗りが相次ぐ。
14日に契約した三井住友とみずほは、カテゴリーも全く同じ「銀行」で共同会見を行った。みずほの佐藤康博社長は「日本の成長に大きなインパクトがあるイベント。同じ思いを持つ仲間がいるなら、ぜひ一緒に」と語り、三井住友の宮田孝一社長も「全く思いは共通」と応じた。
NECと富士通も、契約業種を細分化して実現した事実上の呉越同舟だ。「国際オリンピック委員会(IOC)の了解を得た。珍しいが、今後も同じようなケースはありうる」と組織委の担当者は明かす。
同業他社との相乗りだと、多額の契約金に見合う広告効果を得られるかは微妙だ。スポーツビジネスに詳しい早大の原田宗彦教授は「スポンサーになるメリットの評価よりも、半世紀に1度というビッグイベントに乗り遅れてはいけないというムードが企業側に強いのだろう」と分析する。
スポンサー収入は貴重な財源だ。東京大会は招致時の計画よりも競技会場の整備費が大幅に膨らむ見通しで、新設会場の建設中止や既存施設への会場移転が相次いでいる。森会長は「これでいいということはない。積極的な営業を続けていきたい」と話している。