prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ベニチオ・デル・トロ 広島へ行く」

2012年08月07日 | 映画
ベニチオが広島の原爆資料館から出てきてひとこと、「ハリウッド映画じゃないんだよな」。

「裸の島」のロケ地宿祢島に上陸すると、ずいぶん撮影時に比べて草木が伸びたのがわかる。上っていく道の勾配のきつさは驚くほど。

終始、ビデオカメラを回し続けていた。観光客として風光明媚な場所を撮るというより、とにかくカメラアイが自分の目と一致している感じ。短編だが、監督デビューしたのは不思議ではない。

「裸の島」で作物に汲んできた水をかけるのは、新藤監督の表現によると「乾いた人間の心にかける水」ということになるのだが、原爆の後の被爆者たちが求めながら実際に飲むとまたひどい死に方をするのもまた水ということになる。
ベニチオがわずかなプライベート・タイムに向かうのが平和祈念公園の水、というのが印象的。

ベニチオは「裸の島」の前に「鬼婆」「藪の中の黒猫」を見ていて、どちらもホラー的な映画なので(「エクソシスト」の監督ウィリアム・フリードキンは世界ホラー映画の十本に「鬼婆」を入れている)、「裸の島」もそうかと思ったという。日本国内ではピンク映画と勘違いされたというのはわかるが、naked islandというとホラー的なニュアンスになるのか。デル・トロは「狼男」もやっているけれど、好きなのかな。

ずっと新藤監督の次男の次郎氏が同伴しているのを見ていてふっと気がついた。「裸の島」で二人の男の子のうちひとりが死ぬのだが、監督の長男の太郎は製作の数年前に十歳で死んでいる。ああいう一見ドキュメンタリー風の作りで子供がひとり死ぬというのは「作りすぎ」に最初見えたのだが、あくまであれは「客観的」な記録ではなく、「作者」が実体験込みで仕組んだドラマなのだろう。

日本映画専門チャンネル 2012年8月6日

公開年 2012
上映時間 61分

前回放送した、新藤監督×ベニチオ対談番組「ベニチオ・デル・トロが新藤兼人監督に「映画」の話を聞いた」に続く特別番組の第二弾。新藤兼人を敬愛し、昨年、新藤兼人回顧展をニューヨークで開催したことでも知られる世界の名優・ベニチオ・デル・トロが、新藤監督の生まれ故郷であり、数々の映画の舞台となった広島をこの5月に初めて訪問。広島の平和記念公園や、最も感銘を受けたという映画「裸の島」のロケ地を訪問する様子を追う。

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