自治体、新制度を収入源に 節電・防災意識が背景
学校などの屋根貸し出し
再生エネルギーの買い取り制度は、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマス(生物資源)の5種類を使って発電した電気の全量を電力会社が国が定めた価格で買い取る制度。現状では高コストの再生可能エネルギーによる発電を普及させる狙いがあり、新法の施行で7月1日に始まる。
制度を活用する動きは節電意識の高い首都圏の自治体にも広がっている。神奈川県は、県立高校や団地など20施設25棟の屋根を民間事業者に貸し出す。1千平方メートルの太陽光パネルで年間約300万円の売電収入が見込めるといい、この一部が使用料として県の収入になる。公募したところ、11社が応じた。
担当者は「制度によって民間事業者が参入しやすくなった。県も民間も収入が得られる新たなビジネスモデルにしたい」と意気込む。
地域防災にも役立てたいと考えるのは栃木県足利市。7月中旬に市立学校や市庁舎など十数カ所の屋根を貸し出す方針で、停電時は市施設に電気を供給することを条件とする。市環境政策課の担当者は「市の収入になるだけでなく住民の安心感も高まる」と期待する。
経済産業省によると、6月28日までに同制度の買い取り対象と認定された発電設備は全国で44件。出力は計4万1605キロワットで、太陽光発電が43件、風力発電は1件。同省は今年度中に新たに導入される再生可能エネルギーの発電設備は自家消費分も含めて250万キロワットと見込む。
買い取り価格は発電コストを踏まえて種類ごとに決まり、太陽光の場合は1キロワット時当たり42円。電力会社が買い取りのために負担した費用は家庭や企業の電気料金に8月分から上乗せされる。標準家庭(月間使用量300キロワット時)の場合、全国平均で月87円の負担となり、電力会社の買い取り額が増えれば、料金への上乗せ額も増える。