安倍政権の歴史認識見直しに懸念 米政府高官
【ワシントン=吉野直也】「米国は歴史認識の問題について友好的な方法で、対話を通じて解決するよう望んでいる」。米国務省のヌランド報道官は7日の記者会見で、安倍政権が旧日本軍の従軍慰安婦の強制連行を事実上認めた「河野談話」など過去の歴史認識の見直しを検討していることに懸念を示した。
「日本ほど米国に近い同盟国はない」と指摘しつつも「東アジアすべての国が歴史認識や領土の問題を対話を通じて解決するよう注視したい」とも語った。米政府は歴史認識を巡る日韓両国の関係悪化がオバマ政権のアジア太平洋地域重視の戦略を直撃することから、日韓双方に自制を促してきた経緯がある。
米政府内にはアジアで一段と台頭する中国を踏まえ「日韓が歴史認識の問題で、次の4年ないし5年を費やすのは日米韓3カ国にとって失うものが大きい」(元高官)とみる空気もある。