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■竹岡羊子展 カーニバル~虚構の宴に魅せられて (6月30日まで)

2011年06月27日 23時54分01秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 ニース(フランス)やバーゼル(スイス)、ベネチア(イタリア)など欧洲のカーニバルに幾度も足を運んで取材し、そのようすを油彩に描き続けてきた画家、竹岡羊子さん。
 札幌在住ですが、出身は福岡県太宰府です。
 カーニバルといえば、南米リオデジャネイロなどが有名です。欧洲のカーニバルは、あそこまで派手ではないようです。

 筆者がこの展覧会で印象的だったのは、絵の明度が意外と低いことでした。
 いいかえれば、色合いが、見る前に思っていたのよりも暗めなのです。
 華やかなカーニバルを描いた絵ですから、画面全体が明るく、輝かしいきらめきに覆われていてもおかしくありません。

 しかし、とりわけ「Show up,Let's Go!」「響かせて、秋」といった80年代の諸作で目についたのは、モスグリーン系の濃い緑でした。
(これらの緑は、じつは図録の印刷ではいまひとつよく出ていません。もともと、油彩を見る醍醐味だい ご み は、何層にも塗り重ねられた色の重なりを見ることですから、もとより印刷に多くを期待してはいけないのです)
 90年代末あたりからは、緑が後退して、青紫系やピンクが画面を覆うようになります。
 だが、これらの色も、けばけばしく薄っぺらいというよりは、しっかりと重厚に重ねられて、画面を落ち着かせる効果を担っているように感じられます。

(ちなみに、アニメの色指定でいちばん難しいのは、濃い緑と紫だと、聞いたことがあります。竹岡さんの絵も、新世紀エヴァンゲリオンと、その難しい色に挑戦しているという共通点があるのですといったら、ご本人はいやがるかな?)

 つまり、竹岡羊子さんの画面も、「もの」を面(ブラン)でとらえて明暗をつける近代までの絵画ではなく、あえて奥行きを欠きつつも世界を表現するという課題を背負った現代の絵画のカテゴリに属するといえるのではないかと思います。
 もちろん、竹岡さんの絵にまったく遠近法や透視図法が欠落しているというのではありません。ですが、主要な眼目は、現実世界に似た奥行きを再現するというよりは、色と色、かたちとかたちの響き合いそのものが、巨大なキャンバスで演じられているといった方がよいのではないでしょうか。


 竹岡羊子さんは、1953年の独立展に初出品。
 全道展には54年から出品を始め、63年会員。
 女流美術協会では64年会員、91年に委員。
 独立美術では、71年以降、奨励賞や野口賞、独立賞などの受賞を重ね、87年に会員。
 東京、札幌で数多くの個展を開き、さらに90年代以降は海外での発表も多く、2001年、米国ラスベガス美術館の「Asian Art Now 2001」でグランプリを受賞しています。



2011年5月14日(土)~6月30日(木)9:45~5:00(6月は~5:30)、会期中無休
札幌芸術の森美術館(札幌市南区芸術の森2)
※地下鉄南北線「真駒内」駅バスターミナルの「2番乗り場」から出るバスはすべて「芸術の森入り口」に停車します。


□竹岡羊子さんサイト http://www10.plala.or.jp/y_takeoka/
□竹岡羊子オフィシャルサイト http://yoko-takeoka.com/

竹岡羊子展(2009年、画像なし)
竹岡羊子展おしらせ(2007年)
竹岡羊子展(2004年)
竹岡羊子展(2001年)


一般700(560)円、高校・大学生350(280)円、小・中学生150(120)円
※( )内は前売り及び20人以上の団体料金
※65歳以上の方は当日料金が560円(団体450円)

※障がい者手帳をお持ちの方は、当日窓口でご提示いただくとご本人と付き添いの方1名が無料になります。
※札幌芸術の森野外美術館および子どもアトリエとのお得な共通券もあります(当日券のみ) 一般 1190(団体1020)円、高校・大学生 910(団体790)円

※再割(2回目以降の来場者が、前回の半券をお持ちになった場合)
~一般 300円、高校・大学生 200円、小・中学生 100円


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