「カレー」という言葉が頭から離れず、時系列を無視して2日目のことなど書いてしまったきのう。書いてすっきりしたところで、今日は新潟遠征「2015夏」初日に戻る。
砂子組の真坂さんの基調講演が終わったあとは事例発表が5題。発注者側から2つに施工業者が3つである。
国土交通省のお役人さんの発表がつまらないのは毎度のことなので置いておくとして、あとの4件のクオリティーがむちゃむちゃ高いのにびっくり。特に新潟県職員の瀬戸さんの事例発表には、お世辞抜きで感激した。
建設業はダーティーだというイメージを持たれているが、住民の皆さんはホントに理解してくれてないのか?じつはホントに喜んでくれてる人はたくさんいる。
そういう「地域の声」を拾い上げ、「施工者の思い」を伝えていかなければならない。
発注者側の人が「現場」のことを語るのは、これまで幾度となく聴いてきたが、彼女が語ったのはまさに本当の意味での「現場」の話であり、本当の意味での当事者が自分の言葉で語る体験談だったことが、わたしを感激させた大きな要因だったと思う。
「自分の言葉で語る」。簡単なようで難しい。借り物の言葉で語る体験談は、単なる事例発表として終わってしまうが、「自分の言葉」で語られたとき、はじめてそれはメッセージとなり得るのだと、わたしは信じている。
すべての事例発表が終わったあと、岸良裕司さんが話してくれた講評が的確だ。
彼女は自分の仕事を変えた。だが、それにとどまらなかった。周りの働き方も変えてしまった。
岸良さんはまた、全部の発表に共通しているものとして、「働き方を変える」というキーワードを指し示した。まったくそのとおりだとうなずくわたしは、事例発表を聴いているさなか、各発表者に共通する別の「あること」に気づいていた。
それは、ミスをさらけ出したり、気乗りしない自分をさらけ出したりという、つまり、「自分の弱みを認識し、さらにそれをさらけ出す」というところからスタートするスタイルを、4つの事例発表者すべてが採用していたということである。そしてその次のステップとして「自らが変わる」、あるいは「自らで変わろうとする(した)」。だからこそ、皆さんの発表が聴衆の心に届いたのだとわたしは思う。
たしかに、発注者側、受注者側、あるいは発注者と受注者のあいだに、全国どこでもあるような様々な問題点があるだろうことは、そこかしこに垣間見えはした。「新潟モデル」とて、けっして順風満帆ではないということだろう。だが、そんなことは当たり前のこと。やらない、あるいはつづけない理由にはならないのである。
今回の新潟遠征初日、いみじくもわたしは、「自信のある人物は自分を変えることにそれほど抵抗はないが、自信のない人物は今の自分にこだわる」という榎本博明さんの文章を引いて、ごくごく短いブログを書いた。だが、はなから「自信」などある人はいない。「自らが変わる」「自らで変わろうとする」、その繰り返しがささやかな自信となり、「自分の働き方を変え」、「周りの働き方を変える」。その相互作用が好循環となって、より大きな範囲で変化が起こる(少なくともその可能性が生まれる)。
もちろん、世の中そうそう甘いもんではない。上手くいくことより上手くいかないことのほうが多かったりもする(少なくともわたしはそうですネ)。だが、「人生はワンツーパンチ、汗かきべそかき歩こうよ(※)」だ。「三歩進んで二歩下がる」の繰り返しだったとしても、その「三歩マイナス二歩イコール一歩」には十分価値があるとわたしは思う。
つごう4日にわたり書いてきた「2015夏」新潟遠征記。
最後に、これまた岸良さんの講評で出てきた言葉でもって締めくくりとしたい。
「あの人がいたからできる(できた)」と考えるか、「あの人ができる(できた)理由を分析するか」が、次のステージを目指せるかどうかを分ける。
「その後の新潟モデル」、期待にたがわぬものだった。こうなれば「その後のその後」、あるいは「その後のその後のまたその後」、そしてその先へ。「次のステージ」に出会う日が、待ち遠しいわたしなのである。
※三百六十五歩のマーチ
歌:水前寺清子
詞:星野哲郎
曲:米山正夫
三方良しの公共事業推進研究会
岸良裕司編著
日刊建設通信新聞社
岸良裕司著
中経出版
↑↑ クリックすると現場情報ブログにジャンプします
有限会社礒部組が現場情報を発信中です
発注者(行政)と受注者(企業)がチームワークで、住民のために工事を行う。