スパコン「京」、毎秒1京回の計算達成 1兆の1万倍
理化学研究所と富士通は2日、共同開発中の次世代スーパーコンピューター「京(けい)」で、1秒間に1京(京は1兆の1万倍)回を超える計算能力を世界で初めて達成したと発表した。完成は来年6月の予定だが、それに先駆けて目標性能に達し、名実ともに「京」が実現した。6月に獲得した世界最速の座を維持したい考えだ。
今後、搭載するソフトウエアの開発を進め、来年11月に運用を開始する。画期的な新薬の開発や地震・津波のシミュレーション(模擬計算)などに利用を見込む。
京はCPU(中央演算処理装置)8万8128個で構成。30時間弱に及ぶ連続運転で、計算能力は1秒間に1京510兆回に達した。6月に世界のスパコン性能ランキング「TOP500」で1位になった際は同8162兆回だった。
今回、CPUの処理能力の93.2%を計算用に使えた。理研の平尾公彦計算科学研究機構長は2日の記者会見で、「ほかのスパコンを上回る高い効率だ」と指摘。ナノテクノロジー(超微細技術)を応用した材料の電気的な性質を高精度で再現する計算などが可能になるという。
ただ米国は京をしのぐスパコンを開発中で、11月中旬に発表予定の次回のスパコン性能ランキングで1位を狙っている。