世界あやとり紀行―精霊の遊戯

世界あやとり紀行―精霊の遊戯 (INAX BOOKLET)世界あやとり紀行―精霊の遊戯 (INAX BOOKLET)
シシドユキオ/野口實/マーク・A・シャーマン
INAX出版
★★★★


あやとりって、日本独自のものだ、とずっと思っていたのです。
世界中にあやとりが文化としてあった、ということを知って、びっくりしました。
多くのあやとりは文字をもたない社会で、語りや歌とともに、さまざまな知識や知恵を伝達するための手段だったのだそうです。
世界地図を見れば、白人居住圏をのぞくほとんどすべての地方にあやとりが伝わっていることがわかります。
ことに南太平洋の国々はあやとりの宝庫でした。
そして、あやとりの模様があらわすものもまた、その国・その民族らしさをあらわしています。
「天の川」、「ウミヘビ」、「サンゴ」・・・これらは南太平洋の国々のあやとり。
オーストラリア、アボリジニの「たつまき」、「リクガメ」、「エミュー」・・・
極北に住むイヌイットたちの伝承は、「耳の大きな犬」、「山並みまたはオイルランプの炎」、「山間の月」、「白鳥」・・・
ナバホインディアンは、「ナバホの蝶」、「テントの幕」・・・という具合に。
それから南アメリカ、アフリカ各地、アジアをぐるっと回って、中国から日本へ・・・
これらのあやとりのほとんどは、それぞれに語りや歌と対になっています。
占いもあります。
ナバホの赤ん坊占いは、父親になる人だけがあやとりによって占うことができるのです。
厳粛な占いなのです。
遊びではなく、民族に伝えられるべき大切な知恵だったんだ・・・。


日本のあやとりもそうだったのでしょうか。遊びとしてのあやとりしか思い浮かばないのですが・・・
インドの人が日本のと同じ「ほうき」を作っている写真がありました。
中国の「日の出」は、日本の「月にむら雲」と同じものでした。名前が違うだけで、イメージもずいぶん違う。
日本のあやとりは、アジアから伝わってきたのでしょうか。
いつごろのことだったのでしょうか。


そして、文字のない国の文化としてのあやとりは、白人文化の伝達とともにあっという間に廃れてしまったのだそうです。
でも、手で覚えた文化は、頭は忘れたつもりでも、手指は忘れていないのだそうです。
国際あやとり協会は、このようにして残った世界のあやとりを集めているのだそうです。


欲を言えば、あやとりの手わざとともに、語られる物語や歌を教えてほしかった。
あやとりから解き起こす民族の歴史とか、
民族間の伝達(きっと伝達があったのだと思うのだけど)の様子(他民族間での類似点や独自性も)なども知りたいな。


それから、数種のデザインについて、糸の掛け方取り方が写真つきで説明されていたのですが・・・
私の読解力の低さが浮き彫りになってしまった。
わからないのです(涙) 
写真と自分の手元の糸をつき合わせて説明書きを繰り返し読むも・・・???
ほんとは、ここにあやとりの写真をアップするつもりだったのですが、できません〜。