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若者も増えている 移住生活
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SUUMOジャーナル 編集部
2014年12月26日 (金)

都市と地方、あなたの住みたい理想の場所とは

都市と地方、あなたの住みたい理想の場所とは(画像撮影:Lifenote)
画像提供:Lifenote

ライフスタイルの多様化やITの進歩で20代、30代の地方への移住者も増えているなか、都市部に住む人の中には「私はこれからどこで暮らしていきたいのか?」なんてことを考える人もいるのではないだろうか。そんな「理想の住む場所」にまっすぐに向き合ったイベントが開催された。

あなたはなぜ今そこに住んでいますか? 

12月6日(土)、東京都港区、東京タワーふもとの増上寺にて、「都市と地方 ~あなたの住みたい理想の場所とは~」をテーマにカンファレンスが行われた。主催は大学4年生の町塚俊介さんが代表を務めるLifenote(ライフノート)。会場には、大学生から社会人まで多様な参加者が集まった。

Lifenoteは、自分らしい生き方を考える機会を増やす”現代版寺子屋”をコンセプトに、町塚さんが今年始めたプロジェクト。月に1回、特定のテーマについてその道のプロに登壇してもらい、参加者同士で話し合いながら考えを深めていくというスタイルだ。

2回目となる今回は、「理想の住む場所」がテーマだ。仕事中心に住む場所を決めていた時代から、技術革新や交通機関の整備によって、どこに住むか自分で選べる時代になっていくと感じ、自分らしい生き方を考える上で住む場所選びは切り離せないと考えたからだ。登壇者は以下の3名。
・『SUUMO』編集長 池本洋一
・面白法人カヤック代表 柳澤大輔さん(鎌倉に本社)
・プロブロガー イケダハヤトさん(2014年6月より高知に移住)
それぞれ「都市」「郊外」「地方」に住む視点から発表をし、参加者に問いを投げかけた。

【画像1】徳川家の菩提寺ともなっている増上寺で寺子屋に参加できるとは貴重な体験だ(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】徳川家の菩提寺ともなっている増上寺で寺子屋に参加できるとは貴重な体験だ(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】登壇した3名。左からイケダハヤトさん、面白法人カヤック代表柳澤さん、SUUMO編集長 池本(画像提供:Lifenote)

【画像2】登壇した3名。左からイケダハヤトさん、面白法人カヤック代表柳澤さん、SUUMO編集長 池本(画像提供:Lifenote)

問い1:あなたは何を得たくて都市に対して高いコストを支払っていますか?

『SUUMO』編集長 池本は、都市の魅力について語った。都市の住宅費はやはり高い。その高いコストを払う価値とは? という問いだ。都市に家を持つメリットとして「資産価値」はよく言われることだが、それだけではつまらない。プラス5万円の居住コストの価値は何なのだろうか? 

例えば、都市に住むことで、通勤時間の削減による生産性UP、家族との対話時間の増加、人脈づくりや自分への投資(習い事)などがしやすい。また、賛否両論あるものの、と前置きしつつ、子どもの教育については都市は学力の高い学校が多々あり、選択肢が豊富であること、さらにシニア世代にとっては教育・教養や医療の点で都市が選択されつつあると紹介された。

問い2:あなたが住む場所を選ぶ際に、自分の中で大切にしたいことは?

面白法人カヤック代表の柳澤さんは鎌倉に本社を置き、また、「カマコンバレー」というプロジェクトを通して、鎌倉をITの力で盛り上げる活動にも積極的に関わっている。柳澤さんはどうして鎌倉に本社を構えたのだろうか?

柳澤さんは香港の生まれ。小さいころ毎週海に連れて行ってもらった原体験があり、海という存在は「浄化」「座禅」の役割を果たす、必要不可欠なものなのだそうだ。また、通勤などの移動には時間をかけたくないということもあり、職住近接で海も山も歴史もある鎌倉に本社と住居を構えたのだという。

そんな柳澤さんからの問いは、住む場所を選ぶ際に自分の中で大切にしていることは何か? というもの。譲れないこと、大切にしていること、言葉にしにくいその思いをあえて言語化することで、「あなたが大切にしていること」が見えてくる。それによって選ぶ場所が変わってくるかもしれない。

問い3:あなたが生きていくのに必要最低限のレベルは?

2014年6月に高知に移住したプロブロガーのイケダハヤトさんは、高知に移住した理由・高知の魅力をプレゼン。「(プロブロガーとして)コンテンツの価値を高めるため」、「1軒家でも1万~3万円で借りられる土地・物価の安さ」、「人がみなフレンドリーで居心地がいい」、「食べ物がおいしい」「知事がイケてる」など15の魅力を次々と披露。

そんなイケダさんは「あなたが生きていくのに最低限いくら必要か?」という問いを提示。東京でワンルーム8万円の部屋に家族3人で暮らしていたというイケダさん。現在は高知市の街中で2DK、築浅、温水洗浄便座付の6.3万円の部屋に住んでいる。さらにこれから高知県の嶺北地方に移住を考えており、3万円程度で一軒家を借りる予定だそうだ。お金と生活レベルを含めて、自分の「最低限レベル」を知っておくことで、場所選びは大きく変わりそうだ。

【画像3】靴を脱いで畳の上で体育座りをしながらパネルディスカッションに聞き入る参加者(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

【画像3】靴を脱いで畳の上で体育座りをしながらパネルディスカッションに聞き入る参加者(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】近くの人と4、5人で感想や意見をシェアすることで多様な価値観に触れることができた(画像提供:Lifenote)

【画像4】近くの人と4、5人で感想や意見をシェアすることで多様な価値観に触れることができた(画像提供:Lifenote)

「自分がその街に何を与えられるか?」がないと、街への愛着は生まれない

印象的だったのは、柳澤さんの「その街が何を与えてくれるかだけではなく、自分はその街に何を与えられるのか? がないと、街に対する愛着は生まれない」という一言。

多くの人は、住む場所を選ぶとき、行政サービスや環境条件(交通、教育、医療、買い物etc.)を比較して、この街は自分に何を与えてくれるか、自分の希望を満たしてくれるかと街を評価する。でも与えられるだけではなく、自分はその街に対して何ができるのか? この思いやスタンスがあってはじめて、住む街が愛着ある街になり、そして結果的に“理想の街”になっていくのかもしれない、そんなことを考えさせられた。

プレゼンテーション、パネルディスカッション、グループワークなどを通して、参加者の心の中にたくさんの「問い」と「視点」を投げかけ、「都市と地方の関係性」や「自分にとっての理想の場所」について考えを巡らせた貴重な時間だった。

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