ザッポスとは

ザッポスってどんな会社?

ザッポスの奇跡 アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは 石塚しのぶ

ザッポスは、靴やアパレル、その他の商品を取扱うネット通販の会社です。1999年に設立。2008年には、設立10年足らずにして、年商10億ドルを突破しました。本社は、「眠らぬ町」ラスベガス郊外の、ヘンダーソンという町にあります。

ザッポスは、自らを、「たまたま靴を売っているにすぎない、サービス・カンパニー」と称しています。つまり、ザッポスでは、「靴の販売」ではなく、「サービスの提供」こそが本業なのです。ザッポスの顧客サービス哲学は、「エモーショナル(感情的)、かつパーソナルな、一生涯つづくつながり」を築くということ。

だから、ザッポスのコンタクトセンターでは、たとえオペレーターが一件の電話に2時間を費やそうとも、それが顧客を驚嘆させ、満足させるものであれば、決してとがめたりはしません。こんな問い合わせに対してはこういう受け答えをして、こういった言葉を使って・・・、というようなマニュアルも、ザッポスには存在しません。あらゆることが、顧客と直に接する現場の社員の采配に任されているのです。

「WOW(驚嘆)のサービス」、「楽しさ」、「成長と学び」、「チーム・家族精神」、「情熱」、「謙虚さ」などの価値観によって支えられたザッポスの企業文化は、会社の中の各個人が、共同体の成長に貢献することにより、自らの人生の充実も達成していくという構図をつくりだしています。この、まったく新しい会社の形、経営のあり方は、今日、アメリカのビジネス界の熱い注目を浴び、フォーチュン誌の「最も働きたい会社ベスト100(2010)」の15位、米国小売業協会が選ぶ「最も革新的なリテーラー(2010)、ファスト・カンパニー誌の「最も革新的な会社ベスト50(2009)」の20位、そして、ビジネスウィーク誌の「カ スタマー・サービス・チャンピオン・ベスト25(2009)」の7位にランクインするなど、様々な栄誉に輝いています。

日本の読者の皆さんへ
ザッポスCEO、トニー・シェイからのメッセージ

(著者による翻訳)

結局のところ、会社は人が集まってできています。そして、人は誰でも、幸せになりたいと望んでいるものです。かつて、会社は、顧客の幸せか、社員の幸せか、取引先の幸せか、投資家の幸せか、そのいずれかを選ばなくてはならないとされてきました。また、かつては、会社を、「対外的にどう見せるか」ということに、より大きなフォーカスが置かれ、実際に、「どんな会社をつくるのか」ということにはさほど注意が払われないできました。

今、我々は、新しい時代に突入しています。過去には比べ物にならないくらいのすさまじいスピードで、一般の人々がお互いに情報を交換し、伝播できるテクノロジーのおかげで、好むと好まざるとに関わらず、企業の透明性は日に日に増してきています。今日、ザッポスよりもっと規模の大きい、そして歴史のある企業が、苦戦しているのはそういった理由からです。

ザッポスの長期的なビジョンは、「至上の顧客サービスとエクスペリエンスを提供する」ということですが、これを、ザッポスでは、「どんな会社(企業文化やコア・バリュー)をつくるのか」ということにフォーカスを置くことで達成することができると信じています。また、それが、顧客、社員、取引先、そして最終的には、投資家に幸せを届けることにつながると信じています。

「ハピネス」とは旅路の途中であり、目的地ではありません。この本の中では、我々がザッポスで実践していることの一部が紹介されていますが、我々自身、まだまだ学びという旅路の途中にあります。すべての答えを持っているわけではありません。しかし、我々のアイデアをシェアすることを通して、読者の皆さんが、ご自分のビジネスにも、もっとたくさんの幸せをもたらしたい、と、そんなやる気を奮い起こすきっかけをつくることができれば、と願っています。

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